【安室透】約束は守る男なので2【降谷零】

君を思う-10 ページ34

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今日、この日、この時間。
プレオープンで人も少なく、新設ということもありまだ建物の配置やカメラの死角など警察の事前の調べが行き届いていない。陽も沈み、ライトが煌めくエリアの外は暗闇。


うまく潜入する手立てがあるのであればこれ以上に環境の良い取引場などはなかった。



耳にインカムを当て状況を拾う。
其々のエリアに配置した部下からの報告を受けてぐっと唇を噛む。


安室透__もとい降谷零は珍しく焦っていた。



この頭の中にインプットされた情報及び予測が正しければ、間違いなく動きがあるはずだと踏んでいたのに。



約1週間前、自身の所属する部署へ一本の緊急連絡が入った。
米国を中心に闇取引やテロを働いていた凶悪犯が日本へ入国したかもしれない、というものである。


無論、赤井秀一の所属するFBI もこの件に一枚噛んでいた。
流石に国を跨いだ案件なため一時的な協力体制を要請され全ての情報を開示させて追った結果、本当に寸前で今日ここで取引があることを掴んだのだ。


さらにそのテロリストが今回の件において例の組織に関わりがあるかもしれない、という情報が別のルートから耳に入った。
それならば、今日この場所で捉えなくてはならない。


これは確かな情報で、実際にテロ犯らしき人物もショッピングモールの全入口に設置しておいた特殊カメラで確認されていた。




にも関わらず、この時間になっても動きがない。




「くそ、どうなっているんだ…」



仮にも相手側にこちらの動きがバレないように私服での潜入をさせているし、この案件は降谷を初めとする少数精鋭とほんの一握りの警察内部組織のトップクラスにしか知らされておらず、それはFBI も同じであった。
おそらく、今回この機会を逃せばこちらで捉えることは難しくなる。



風見からの状況確認をしてから19時を回っている。



「まさか気づかれたのか…？」


だとしたら、今までの1週間は全て水の泡だ。
この寸前で向こう側がこちらの計画に気がつくことも考えにくいが、可能性はゼロではないし、常に全ての可能性を考えなくてはならない。


相手に勘付かせないためと、情報を掴んだのがこの当日ということもあり一般人もこの場にいる。
そのため厳戒体制を敷いているが、もしバレたとしたらただ取引ではなく何かアクションを起こす可能性もある。


それだけは＿



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__＿そう思ったのを嘲笑うかのように、遊園地が暗闇に包まれたのはそれからすぐの事だった。




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