半分も伝わらない-7 ページ19
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すこし後ろをむけば男がゆっくりと立ち上がっているところだった。
すぐに後ろから追いかけてくる足音が反響して不安感を煽る。
慣れないサンダルのせいで足のあちこちが擦れてじくじくと痛むのを感じた。
そうだ、携帯……！
走りながらポケットに手を突っ込んで携帯を取り出すと、走ってるせいで詳しくは見えないが画面には何件ものメッセージと着信が入っている。
とにかく通話を______
『っぁ！』
そう思って画面を操作しようとした矢先、がつん、とつま先が引っかかって体が前のめりになる。
_____嘘、最悪！
『ぐ……っ！』
どしゃっと派手にコンクリートの地面に突っ伏して
、カバンの中身がそこらに飛び散る。
転んだ。そう理解した瞬間にぶわりと汗が滲んだ気がした。
「あは、大丈夫？転んじゃったね。僕から逃げようとするからだよ…」
かつん、かつんと少しずつ足音が近づく。
全身の痛みと、絶体絶命のこの状況に対する恐怖で上手く体が動かない。
転んだ反動で離してしまった携帯が、1メートルほど先でぼんやりと光っている。
『う、…』
あと数十センチ。
そう思って伸ばした手が、無情にも上から被さった手で地面に縫い付けられた。
「つーかまーえた、」
『っあ、嫌だ…っ、！』
頭の上から響く声に腕を振り払おうとしても力が入らなくてびくともしない。
もう片方の手で携帯に手を伸ばすが、それも男によって阻止される。
『いい加減に「しずかにして」…ぅ！ぁ…』
ぷつり。
首の横に鋭利な刃が立てられた。
「ねぇ、昨日あれからどこにいたの？家に戻ってこないし…もしかしてさっき一緒にいた男の家？その洋服も前まで持ってなかったよね…買ってもらったの？」
『あ……ぅ…』
ゆらゆらと視界が歪む。
息が苦しい。どうしてこんなことになってしまったのだろう。私が一体何をしたと言うのだ。
「閉じ込めるだけにしようかと思ったけど、やっぱりそれだけじゃまた逃げられちゃうかもしれないから…………逃げられないようにしようね」
にこりと笑った男が、ナイフを握った手を振り上げるのを目に捉えて静かに目を閉じる。
______誰でもいいから、助けて、
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「お前こそ、無傷で逃げられると思うなよ」
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山梔子(プロフ) - ミモさん» ミモさん、初めまして。コメありがとうございます。色んな感想をお持ちいただけて嬉しいです。よろしければこちらの続編も今とは少し違うテイストになりますが読んでみて下さい^^ (2019年6月14日 10時) (
レス) id: 5b80796d59 (このIDを非表示/違反報告)
ミモ(プロフ) - こんなにもどかしい思いをしたり、ハラハラドキドキしたり、感動したり……。こんなにたくさんの感情にさせられた物語に出会えて、今とても幸せです。あなたに、あなたの書いた小説に出会えて良かった。連載お疲れ様でした。 (2019年6月13日 21時) (携帯から) (レス) id: 0c3426b0a6 (このIDを非表示/違反報告)
山梔子(プロフ) - リンドウさん» リンドウさん初めまして。唯一の楽しみとまで言っていただけるとは…本当にありがとうございます。長らくお待たせしてしまい申し訳なかったです。お付き合い頂きありがとうございました！ (2018年11月22日 12時) (レス) id: 1444a1608d (このIDを非表示/違反報告)
リンドウ - 本当に素晴らしい作品をありがとうございました。山梔子さんの作品が唯一の楽しみで夢主ちゃんと降谷さん二人のもどかしい想いがついに結ばれて良かったです。お疲れ様でした！！ (2018年11月21日 23時) (レス) id: 282d8947f2 (このIDを非表示/違反報告)
山梔子(プロフ) - 夜空。さん» 夜空。さん初めまして。コメありがとうございます！そう言われると書ききった甲斐がありました(^○^)次回作は宣言通り夏のお話を一つ、と書いているところですのでまたよろしくお願いいたます。 (2018年11月20日 1時) (レス) id: 1444a1608d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：山梔子 | 作成日時：2018年6月22日 12時
