見えにくいもの-1 ページ1
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金曜日。今日は朝から曇り空が広がっていて、街行く人は傘を手に持っていた。
どうやら午後から雨らしい。
ここ最近色々立て込んでいたり寝不足だったりでかなり疲れがたまっていた私は、ポアロの窓からどんよりとした空を見上げて溜息をついた。
今日は何だか良くないことが起こりそうだ。
柄にもなくそう思ったのはこの天気のせいか、はたまた今日が13日だからだろうか。
「今日はお客さん、あんまりこなさそうねぇ」
『ですねぇ…』
カウンター越しに同じく外を見やる梓さんが、いつもよりも間伸びた声で呟いた。
本当は今日、シフトは安室さんと同じはずだったが何やら急用だとかで珍しく事前に話があったらしい。
この間言っていた梓さんへの相談とは、多分このことだろうと思った。
内心少しホッとしたのはここだけの話だが。
そういえば、今日は電話もなにもないな…
ふとそんなことを思ったが、別に付き合っているわけでも何でもないし本気にもしていないのだから当たり前だ。
それに、これで飽きてくれたと言うならそれでいい。いつも通りの軽口を言い合うだけのそんな距離感だけでいいのだ。
無駄にもやもやする必要もなくなるし、願ったり叶ったりだ。
『…あ、そうだ梓さん。梓さんなら、年上の男性にプレゼントするとしたら何あげます?』
「プレゼント?誰かにあげるの?もしかして安室さんとか!?」
『あはは、違いますよ。年はまぁ…同じくらいの人ですけど。あぁでも…プレゼントっていうよりもお礼なんですけど何がいいか分からなくて』
安室さんの事を考えていたら、結局プレゼントについてははぐらかされたことを思い出した。
梓さんはなんだぁと言いつつ、うーんと首を傾げた。
「私もそういうの渡した事ないから分からないけど…前に毛利さんが調査のお礼とかでワインとかのお酒を貰った〜て話してたのなら聞いたかな」
『お酒ですか…』
そういえば安室さんも前にバーボンがどうとか、ライがどうとか、やたら言ってきた事があったような…?
沖矢さんもメールした時にお酒は好きだと言っていたし、ありかもしれない。
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山梔子(プロフ) - ミモさん» ミモさん、初めまして。コメありがとうございます。色んな感想をお持ちいただけて嬉しいです。よろしければこちらの続編も今とは少し違うテイストになりますが読んでみて下さい^^ (2019年6月14日 10時) (レス) id: 5b80796d59 (このIDを非表示/違反報告)
ミモ(プロフ) - こんなにもどかしい思いをしたり、ハラハラドキドキしたり、感動したり……。こんなにたくさんの感情にさせられた物語に出会えて、今とても幸せです。あなたに、あなたの書いた小説に出会えて良かった。連載お疲れ様でした。 (2019年6月13日 21時) (携帯から) (レス) id: 0c3426b0a6 (このIDを非表示/違反報告)
山梔子(プロフ) - リンドウさん» リンドウさん初めまして。唯一の楽しみとまで言っていただけるとは…本当にありがとうございます。長らくお待たせしてしまい申し訳なかったです。お付き合い頂きありがとうございました! (2018年11月22日 12時) (レス) id: 1444a1608d (このIDを非表示/違反報告)
リンドウ - 本当に素晴らしい作品をありがとうございました。山梔子さんの作品が唯一の楽しみで夢主ちゃんと降谷さん二人のもどかしい想いがついに結ばれて良かったです。お疲れ様でした!! (2018年11月21日 23時) (レス) id: 282d8947f2 (このIDを非表示/違反報告)
山梔子(プロフ) - 夜空。さん» 夜空。さん初めまして。コメありがとうございます!そう言われると書ききった甲斐がありました(^○^)次回作は宣言通り夏のお話を一つ、と書いているところですのでまたよろしくお願いいたます。 (2018年11月20日 1時) (レス) id: 1444a1608d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:山梔子 | 作成日時:2018年6月22日 12時