イケメンでも許されない-7 ページ7
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頭がうまく働かない。何がどうなってこうなった?
手を引かれるままキッチンに戻ってきて、そのままバックヤードに押し込まれる。
私はここまで、まさに開いた口が塞がらないままだった。
山本さんの視界から完全に外れたことでやっと落ち着いて周りを見て、引かれたままの手を見て我に返った。
『うわーーーっ!』
思わず小さく叫んでばっと手を振り上げた。
さほど力を入れていなかったのか、安室さんの手は簡単に振り払われた。
「あはは、すごい顔ですね」
『そ、そりゃあそうですよ!何してるんですか!きゅ、急に恋人だとか、本当にそう思われたらどうするんですか!』
「ダメなんですか?」
『だっ、当たり前です』
私が胸の前でばってんを作るとふむ、といった風に顎に手を当てる安室さん。
「でも、ああした方がこれから絡まれることも少なくなると思いまして」
『それはっ、そう、かもしれないですけど…』
だとしてもあんな、抱きしめたりする必要は…
そこで私はハッとする。
『………もしかして、仕返しですか?』
じとりと安室さんを見て問いかける。
「……ええ?なんのことです?僕はただ、よくやる
やっぱり………!!私が慣れてそうとか言ったのすごい根に持ってるこの人。
くぅ、と悔しさを顔に滲ませて安室さんを睨みつける。この人、本当に29歳なのか。些か子どもくさいというか、負けず嫌いなところがあるというか。
『と、とにかくですよ。ああいう嘘はやめてくださいね、常連のJKたちに聞かれたら逆に拗れますから』
「それは失礼しました」
イケメンだからってなんでも許されると思ったら大間違いだ。
ただ、無駄な行動があったとはいえ安室さんのおかげで助かったのは事実。
それはきちんと分かっている。ホッとしたら涙が出そうだった。
思ったよりも、怖かったんだ。
『安室さん……ありがとうございました。助けてくれて』
「……いえ。どういたしまして。僕も少し悪ふざけが過ぎましたね。山本さんが出るまで、ここにいて良いので。落ち着いたら出てきてください」
ぽん、と頭に手が乗る。少し見上げた安室さんの顔は、いつもより優しい気がした。
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山梔子(プロフ) - 真紅さん» 真紅さん初めまして。コメありがとうございます!頑張ります〜(^○^)! (2018年6月20日 0時) (レス) id: 1444a1608d (このIDを非表示/違反報告)
真紅(プロフ) - 面白いです!更新頑張ってください! (2018年6月19日 16時) (レス) id: f5ab8da157 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:山梔子 | 作成日時:2018年5月24日 23時