専売特許-19 ページ44
.
少し困惑した顔で見ていると、安室さんはジッと私の顔を見つめ返す。
「そんなに驚きました?」
『そんなの当たり前ですよ、また適当なこと言ってると思ってたし…』
くすくすと笑われて眉間にしわを寄せる。
相手は逆に至極楽しそうな顔だ。
「昨日約束したじゃないですか」
『私は約束した覚えないです、』
「Aさん、好きです」
『人の話聞いてました!?』
今の流れで言うのかよ!
ていうか本当に言ったしこの人!
条件反射とでも言うかのように顔がのぼせ上がる。最近自分の口調が迷子な気がするけど今は置いておく。
とりあえずその顔と声で言うのやめてほしい。
自分の発言がどれだけの力を持っているのかこの人はなにも理解してないのではないかと思う。
『前に冗談でそう言うこと言われるの好きじゃないって言ったじゃないですか……』
「嘘じゃないですよ、Aさんのことが好きです」
『本当に人の話聞きませんね…』
分かっているくせにわざと意図を汲んでくれないことに少しムカつきながらも、体温だけは下がることを知らない自分にも腹がたつ。
というか1日1回じゃなくなってるじゃないか。
『タチの悪い人ですね安室さんて』
「Aさんにだけですよ」
『嫌がらせってことですかそれ』
「まさか。好きな人ほどいじめたくなるって言うでしょう?」
『小学生ですか』
こんな小学生らしくない小学生嫌すぎるが。
うんまぁ、コナン君は別。可愛いから。生意気なところあるけど純情なところあるし。
「そういえば梓さんは?」
『梓さんなら買い出しですけど』
「そうでしたか。少し相談したいことがあったんでいるならと思ったのですが…明日会いますしその時にします」
相談?と首を傾げていると安室さんは椅子を引いて立ち上がる。
『あれ、帰るんですか?』
「はい、少し用事がありまして。ここにはAさんに会いに来ただけですから」
『え、あ、そうですか…』
それではまた明日、とお店を出て行く背中を見送る。嵐のような時間だった。
『ホントにあれだけのために来たんだ………』
この後、帰って来た梓さんに声をかけられるまでまた頭の中でごちゃごちゃと考えることになったのは言うまでもない。
.
1106人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「名探偵コナン」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
山梔子(プロフ) - 真紅さん» 真紅さん初めまして。コメありがとうございます!頑張ります〜(^○^)! (2018年6月20日 0時) (レス) id: 1444a1608d (このIDを非表示/違反報告)
真紅(プロフ) - 面白いです!更新頑張ってください! (2018年6月19日 16時) (レス) id: f5ab8da157 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:山梔子 | 作成日時:2018年5月24日 23時