勘違いの始まり-9 ページ20
.
『あの時大変そうでしたもんね、安室さん。いないストーカーを捕まえてくれって言われてもそりゃあ捕まりませんし』
ほんの3週間から1ヶ月前だったろうか、1人の女子高生に最近誰かに後をつけられている、との相談を受けて調査をしたもののそれらしき手掛かりも人物もおらず、彼女の嘘だったと言うことが発覚したのだ。
それでも彼女は中々引き下がらなかったのだが、何を言ったのか安室さんとの面談(梓さん談)の末、どういうわけかすんなりと引っ込んだらしい。
「いやぁ、あの時は参りましたよ」
『安室さん、あのJKに何言ったんですか?あれから見ませんけど』
「………さぁ、なんでしょうね」
にこりと笑って安室さんはストローに口をつけた。
まるでこの話はここまで、とでも言うようだ。
ちぇ、質問ははぐらかされたなぁ。
職業柄、なんだろうか。
顔に出さず相手に悟らせず、って感じだしなぁ。
「ふ、そんな顔しなくても、告白とかならAさん以外には言ってませんよ?」
『そんなことは聞いてないです』
「相変わらずつれないですね」
それはこっちのセリフだと思うのだが。
と内心悪態をつきつつ、そんなこと言ってもまた笑われるだけなので言わないでおく。
つんとした顔のまま残りのホットドッグを押し込み、飲み込んでまたコーラを啜る。
安室さんも、すっかり氷の溶けたアイスコーヒーを飲み干した。
ふぅ、と一息ついてからお盆を持って立ち上がる。
「おや、もう動いて大丈夫ですか?」
『はい、まだまだ混みどきですしあんまり長居するのも悪くて』
「それも…そうですね」
周りを見渡して2人で苦笑する。
正午は過ぎたとはいえ、まだお昼には遅くない時間だ。
見れば席を探してうろうろしている人も何人か見受けられる。普段の仕事が仕事なだけあってこういう時にはお店側のことを考えてしまうのだ。
テキパキと目につく水滴や出た紙くずやらをまとめて席を立った。
「では、食べたばかりですしまずは穏やかなものでも行きましょうか」
そう言って安室さんは、また自然に手を取って笑いかけるのだった。
.
1108人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「名探偵コナン」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
山梔子(プロフ) - 真紅さん» 真紅さん初めまして。コメありがとうございます!頑張ります〜(^○^)! (2018年6月20日 0時) (レス) id: 1444a1608d (このIDを非表示/違反報告)
真紅(プロフ) - 面白いです!更新頑張ってください! (2018年6月19日 16時) (レス) id: f5ab8da157 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:山梔子 | 作成日時:2018年5月24日 23時