イケメンでも許されない-1 ページ1
.
午前6時40分___。
チリン、と軽いベルの音と一緒に扉を開く。
カウンターの向こう側では既に物音がしていて、動いていた人影が音に反応してひょっこりと顔を出した。
「おはようございます、Aさん」
『あ、おはようございます。安室さん』
ここは喫茶ポアロ。あの有名な探偵"眠りの小五郎"こと、毛利小五郎の探偵事務所の下にお店を構える落ち着いた雰囲気の喫茶店である。
そこで、私
そしてもう1人…たった今無駄に整った屈託のない笑顔を向けてきた男、安室透。
自己紹介では29歳と言っていたけど、どう見ても私と8つも離れているようには思えない顔の持ち主だし、物腰も柔らかく、とにかく文句なしの完璧と言った印象を与える。
顔良し性格良し、見た目少しチャラい感じがするけど紳士的だし、なんなら普段の会話から頭だっていいだろうと思う。
ぶっちゃけ顔はタイプだ。すごく。
『安室さん、今日も早いですね。いつも何時に来てるんですか?』
「あはは、そんなに早くないですよ。僕も丁度さっき来たところですし」
さらりと返事をしつつコーヒーの準備やらなにやら手際よく進める安室さんを、エプロンを締めながら横目に見る。
1つ、難点を挙げるとすれば、この人は全く嘘つきだ。
お店の中の状態を見れば、どう見ても丁度さっき来た、なんてのはすぐに破綻する言い分だ。
植物の手入れも、昨日まで調子が悪かった蛍光灯も、何も手が行き届いているのに。
それに、無断欠勤やら早退やら困りものである。
___安室さんは、どこか掴めない人だ。
いつもニコニコしてるけど、なんというかこう、本心を見せないというか。
なんて、疑いすぎかな。
まぁ、とんでもなく厄介で悪質な嘘はつかないし、だから何と言うわけでもないのだけど。
.
1108人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「名探偵コナン」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
山梔子(プロフ) - 真紅さん» 真紅さん初めまして。コメありがとうございます!頑張ります〜(^○^)! (2018年6月20日 0時) (レス) id: 1444a1608d (このIDを非表示/違反報告)
真紅(プロフ) - 面白いです!更新頑張ってください! (2018年6月19日 16時) (レス) id: f5ab8da157 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:山梔子 | 作成日時:2018年5月24日 23時