ふたり 〜Side Story〜 ページ33
2020年1月。
男女混合7人グループ､SixTONESとしてデビューした俺達。
男女混合とは言っても女の子は1人だけ。
批判を受けるのは目に見えていた。
Jr.の頃から誹謗中傷はあったが､デビューしてから更に酷くなっていた。
Aが誰よりも努力しているのを知っている俺達は､6人で守ろうとSixTONESが結成された時に決めた。
けど､女の子がいるのが珍しい事務所だからこそ､俺らが守ろうとすればする程､誹謗中傷は更に酷くなり､悪い噂が独り歩きしていた。
いつしか､A抜きの6人で仕事をする事が増えて､Aから連絡が来る事がなくなった。
既読無視されようが､俺はLINEを送り続けた。
ジェシーと慎太郎がまた変な事してるって動画を送ったり､
今日はこんな事があったとか他愛のないこと。
俺は彼女の笑顔が大好きだった。
太陽みたいな笑顔に何度救われただろう。
でも……。
「最後に見たのいつだっけな……」
樹「何が？」
どうやら声に出ていたようだ。
樹「何を最後に見たって？」
「Aの笑顔」
樹「あぁー……」
樹も複雑そうな顔をして言う。
樹「LINEの返事きた？」
「いや…」
樹「だよな､俺も」
俺と樹はAと同い年だからこそ､一番近くで守ろうって話をしていた。
「なぁ……俺ら7人でSixTONESだよな？」
樹「何言ってんだよ。んなもん当たりめーだろーよ」
「なんでAいないの？」
樹「……」
「守ろうって決めたのに､俺ら全然守れてねぇじゃん……。言われたスケジュールをただこなして､Aがいなきゃ意味ないのに」
樹「っ……」
悔しそうな顔をする樹の後ろから､Aについてるはずのマネージャーが姿を表した。
樹「あれ？Aは？」
樹も気付いたのか､マネージャーに問いかける。
MG「あ､急用で事務所に呼び出されてしまって､Aさんにはタクシーで帰宅してもらうよう伝えました」
「伝えただけ？」
MG「あ､はい……」
嫌な予感がして､すぐAに電話をかける。
樹「タクシー乗せるまでしろよ。タレント1人で帰すとか何してんだよ」
樹もMGを睨みながら説教していた。
ちゃんとタクシーで帰ったなら､もう帰宅してるはず。
やっぱ出ない。
樹「多分俺らじゃ出ないから､家着いたか確認してくんね？」
「あ､はい。わかりました」
.
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作者名：ruka | 作成日時：2023年10月16日 23時
