パープル・メモリー 3【Jun.M】 (ページ11)

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● ゆめうつつページ11

車の揺れに何となく気付いていて

頭の中で、あぁもう移動なのかなんて

考えても覚醒には至らずそのままウトウトしてたら

もう現実か夢かも分からなくなる。

そのうち何となく温かい気がして

あー、そのまま深く寝れそうだなって時に

覚えのある香りが鼻を掠めたから

重い目を開けたら彼女の姿があった。

A「ごめんね、起こしちゃったかな」

潤「………」

とりあえず起き上がって靴履いて座り直すと

隣にスペースを作って座るように促す。

すると素直に横に来るから

そのまま肩を借りて細い指を絡めるようにして握る。

潤「…来たんだ？」

A「うん、来ちゃった」

少し低めの声も温い手もいつも付けている香水も

全部、また睡魔に誘うには十分過ぎる代物で。

潤「電話…あんま出来なくてごめん」

A「ううん、大丈夫だよ」

潤「タイミング、合わなくて……」

A「うん、忙しいもんね」

潤「………A」

A「…なに？」

潤「…………」

---あいしてるよ。

そう伝えたはず。

聞こえたかな。

ガタンっ

潤「っ、！？」

勢いよく目が覚めた。

慌てて時計確認すれば稽古開始まで

まだ余裕のある時間。

運転席にはマネージャーが居て

稽古場に移動しているのがわかった。

潤「…夢？」

車には彼女の姿はどこにもない。

そりゃそうだ。会うはずがない。

それでも会えた気がして伸びをすれば

すっかり眠気は晴れていた。