第6話 ページ7
？？Side
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「……はぁ、なんでこんな出来損ないに育ったのかしら」
「そりゃお前の育て方が問題だったんだろうな」
この僕に恥をかかせやがって、という男の声を遮るように甲高い女の声が屋敷に響いた。
「ふざけんじゃないわよ！このクソ野郎がッ！！あらやだ超イケメン❤︎って秒で結婚したアタシもアタシだけどね！？たかがコイツの強さ程度でアタシの人生ぶっ壊してんじゃないわよ！！」
「やかましい！お告げの言う通り、コイツは我ら一族の最高傑作の筈なんだ！！俺は本家筋の人間だし、お前だってかなりの実力を持つプロヒーローだ……なら、ならなんでその子どもがこんなにも弱いんだ！！」
高価そうな家具に装飾品が溢れるこの部屋。
そんな物に価値などないというように男が床を蹴れば、敷かれていた大理石がひび割れて飛び散った。
「そんなにアタシのことを認めていたなんて……気色悪いわ、何が望みなのよ」
「いっそ死ね」
……またこの夢だ。
裕福な男女が少し夫婦喧嘩をしていた。傍目から見ればそうなんだろうけど、部屋はドス黒い何かで染まっていると聞けば、きっとヤバイという風に思ってくれるはずだ。
その汚れの中心にいるのは、二人のつくった“最高傑作”＿＿＿＿捨てた筈の、過去の俺。
左の腕と脚は切断されて、匂いはしないが夥しい量の血が流れている。
そして時間が経てば徐々に体が再生し、訓練という名の暴行が待っている。気を失っているのがせめてもの救いかもしれない…
「にしても、この部屋鉄臭すぎるわよ。使用人に掃除でもさせればいいじゃない」
「アイツらは書類仕事の方が使えるんだから、コイツにやらせればいいだろ。……さっさと起きろ、俺がお前くらいの頃には家業も手伝っていたのに。使えないな」
いつまで囚われていればいいんだろう。
いつまで生きていればいいんだろう。
『……』
弱くてごめんなさい、なんて言っていた自分がどうしようもなく滑稽で。
昔の俺を蹴り続ける父親の姿に吐き気がした。
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「起きたか、どうじゃ調子は」
『ホントに最悪な気分だよ、おっさん』
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ゆきや(プロフ) - 千椛さん» コメントありがとうございます！遅くなってすみません、少しずつ更新できたらと思っております。 (2022年9月7日 22時) (
レス) @page3 id: d2fcd45d7d (このIDを非表示/違反報告)
千椛(プロフ) - 更新楽しみに待ってます！ (2022年9月2日 18時) (レス) @page2 id: 5a2d0a48cd (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ゆきや | 作成日時：2022年8月26日 3時
