第9話 ページ11
ASide
ーーーーーーーーーー
『……僕のファーストキスが』
「口じゃないし、治療だから入らないさね」
思わず顔を赤らめて口にした言葉は、あっという間に片付けられてしまった。
そうか、そういうものか。
……ファーストキスなんて、文字でしか知らないからね。
「そんなことよりその手。骨折していたじゃないか」
骨折……？
いや、ただのかすり傷だったはずだ。
彼女に言われて手を見れば、光を発しながら、ゆっくりと怪我が消えていくところだった。
念のため病院に行ってきなさい、と言って去っていく彼女。
なんか見覚えがあると思ったんだけど誰だっけ、と痛む頭を抑えて見つめていると、体が強く揺さぶられた。
「君、骨折していたのか！？」
先程僕を心配してくれていた彼だが、今度は加害者になろうとしているのだろうか。そう思えるくらい、視界がぐらついている。
「おっと、すまない。彼女に治療を受けたとはいえ、先ほどまで怪我人だった人間に……」
彼はパッと手を離して話し始めるも、まだ視界はぐらついていた。
……彼は手を離してくれたはずなのに。
『あはは、ごめん。ちょっと頭が……』
急に体の力がスッと抜けて、僕は倒れ込んでしまった。
「どうし……」
「…リカバリー………！………が！」
だんだん声が聞こえなくなってきて、遠ざかっていく意識の中、僕は治療をしてくれた彼女のことを思い返していた。
そうだ、おそらくあれは治癒力の超活性化といった個性だろう。
となればヒーロー名は……
そこで不運にも、僕の意識は途切れてしまった。
ーーーーーーーーーー
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 307人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ゆきや(プロフ) - 希望厨さん» はい！「それは違うよ」の部分は謎にこだわっていたので嬉しいです。 (2022年9月19日 23時) (
レス) id: d2fcd45d7d (このIDを非表示/違反報告)
ゆきや(プロフ) - あきまるさん» ですよね〜。癖が強いという人もいますが、個人的には推すしかないです（笑） (2022年9月19日 23時) (レス) id: d2fcd45d7d (このIDを非表示/違反報告)
希望厨 - だなえぎまことくんですよね。モチーフしたキャラクターって。「それは違うよ」もねっとりボイスで再生されました。 (2022年9月19日 21時) (レス) id: 6452396e63 (このIDを非表示/違反報告)
あきまる(プロフ) - ゆきやさん» 良いキャラですよね〜 (2022年9月19日 21時) (レス) id: 108e4cfb5a (このIDを非表示/違反報告)
ゆきや(プロフ) - あきまるさん» 正解です！ 性格的にそのままヒロアカの世界に持ち込むのはしませんでしたが･･･ (2022年9月19日 20時) (レス) id: d2fcd45d7d (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：ゆきや | 作成日時：2022年8月19日 3時
