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第三百九十六話 ページ21

骸side


師匠達がリンという少女の言葉を信じ、後ろ髪を引かれる思いをしながらこの場を立ち去っていった。

施設外に男の叫び声だけが響き渡る。


男「逃がすな!なんとしても見つけて捕まえるんだ!」


男の言葉に従い、他の職員達が師匠達を捕まえようと動き出したその時。
外の気温が異様な程に上昇し始めた。

よく見てみると、リンという少女から熱が発せられているような気がする。


男「貴様、何をするつもりだ!?」

リ「……誰も、追わせないよ。
二人には、指一本触れさせやしない」


リンがそう言うと、男の腕に自分の腕を絡めてしっかりとしがみついてきた。

温度は段々と勢いを落とすことなく上昇し続けている。

リンの身体も、仄かに赤く光り始めた。


リ「アンタ達にはバレたくなくて、言ってなかったんだ。
私が人体実験で授かった、もう一つの能力のことを」


この様子を見ていると、彼女が何をしようとしているのか、大体の予想がついてしまった。

逃げられないように男の腕をしっかりと掴んでいる。
自分の命を犠牲にしてでも爆弾を使って犯人もろとも自爆しようとする絵面に、非常によく似ている。

まさか……。


男「いいのか?俺達を殺すために自分を犠牲にして。約束を破るのか?」

リ「約束を、破るつもりはないよ」


彼女は以外にも、この場の雰囲気に不釣り合いな顔で笑った。


リ「例えここで死んでも、私は絶対二人に追いつく。

例え幽霊でも、生まれ変わっても、私は絶対二人に会いに行く。
何十年、何百年かかっても、絶対に」


周りの温度が益々上がっていき、彼女は最後に覚悟の籠った目つきで男の腕をこれでもかというほど掴んだ。


リ「また、会おう。A、キョウヤ。

行くよ……“自爆”!」


そう言い放った瞬間、リンは自身の身体を爆破させて辺りの人達も全員飲み込んで消えていった。

恐らくこれが、彼女の身に宿ったもう一つの能力だったのだろう。
自分の命と引き換えに、敵を一掃する大技。


リ「……エグイな」

風「ええ、そうですね」


リボーンと風さんが険しい表情を見せながら、前方を見つめている。
非戦闘員の人達は、凪が幻術をかけて今の光景を見せないようにしていたらしく、不思議な顔をしていた。

皆が皆、自分の今の感情や、今見た情報を整理するのに必死だった。

だからだろうか。
そして今の光景を見ていたのが、僕達以外にもう一人いたことにまだ皆気がついていなかった。


骸side end

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霧の守護者 - ものっすごく面白かったです!便新待ってるのでヨロシク御願いします! (2017年10月22日 0時) (レス) id: 85a4490bed (このIDを非表示/違反報告)
すず(プロフ) - すごく面白いです!更新頑張って下さいね。待ってます! (2017年3月10日 22時) (レス) id: 058c745464 (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - マカロンさん» コメントありがとうございます!よければこれからも、見続けてくれたら幸いです。 (2017年1月30日 19時) (レス) id: 9cc67b209f (このIDを非表示/違反報告)
マカロン - 更新お疲れ様です! (2017年1月30日 17時) (レス) id: f2c2ccd8c9 (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - 冬乃さん» 冬乃さん、合ってます。私が間違ってました。いや〜……今までずっとキャッバローネだと思ってました。キャバッローネなんですね。ご指摘ありがとうございました!直しときます!! (2016年12月27日 16時) (レス) id: 9cc67b209f (このIDを非表示/違反報告)

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作者名: | 作成日時:2016年11月14日 14時

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