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第三百九十一話 ページ16

もう、注射について疑わずにはいられなくなった。

施設の近くにカイのお墓を建ててもらい、三人で祈るように手を合わせた後。
私達は部屋に戻りながら考えた。


キョ「やっぱりな、あの注射には何かヤバい物が入ってんだよ」

貴「優しくしてくれた施設の人を疑いたくはないけど……そうとしか、考えられないよね」

リ「どうしよう……。
カイが死んじゃったってことは、私達も死んじゃうの?

そんなの嫌だよ!」


それぞれが、それぞれの思いをぶつけた。


親に捨てられて、死んじゃいたいと思ったこともあったけど。
皆に会って、私は変われた。

もっと皆と一緒にいたい。


貴「注射……また来月あるけど、受けたくない」

キョ「当たり前だ。そもそも受けたら駄目だ。

受けに行くフリをして、皆で逃げよう」

リ「あんなことがあったんだもん。
きっと、しょうがないって言って許してくれるよね」


私達はこの頃、注射については疑っていたけど、その他のことについては全く気がついていなかった。

注意しなければならないことは、もっと身近にもあったのに。


貴「大丈夫。私達は、生きるんだ」


私はまだ、幼すぎたんだ。


……そしてその日の夜、私もまたカイと同様処置室に運ばれた。


夜眠れなくてぼーっとしていると、突如襲ってきた激しい頭痛。
暫くすると、声を堪えていることが出来ないくらいになっていた。


キョ「しっかりしろ、A!」

リ「ヤダヤダ!
Aまで居なくなったら嫌だよぉっ!」


リンにファミリーの人達を呼んでもらい、また施設内が慌ただしくなった。


遠くの方で、ファミリーの人達の励ましの声が聞こえる。

だけどそれのほとんどは、私が発する絶叫によってかき消されてしまう。


……どのくらい時間が経っただろう。

気がつけば、周りの声は歓声に変わっていた。


男「よく頑張ったな!」

男「もう大丈夫だぞ。
辛かったなぁ、ごめんなぁ!」


頭の痛みは消えている。

でも、それとは違ってまだ何かが私の頭の中で蠢いているような感じがした。


貴「……?」


この時はあまり気にしなかった。

何故なら、ガラス越しに立っていたキョウヤとリンが泣いていたから。

よかった、私はまだ生きている。
その事実にただただほっとした。


すると、部屋の隅の方でじっとしていた職員の人がボソッとつぶやいた言葉が耳に入った。


男「……成功だ」


その言葉が、当時の私には何故か酷く恐ろしいものに感じた。

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霧の守護者 - ものっすごく面白かったです!便新待ってるのでヨロシク御願いします! (2017年10月22日 0時) (レス) id: 85a4490bed (このIDを非表示/違反報告)
すず(プロフ) - すごく面白いです!更新頑張って下さいね。待ってます! (2017年3月10日 22時) (レス) id: 058c745464 (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - マカロンさん» コメントありがとうございます!よければこれからも、見続けてくれたら幸いです。 (2017年1月30日 19時) (レス) id: 9cc67b209f (このIDを非表示/違反報告)
マカロン - 更新お疲れ様です! (2017年1月30日 17時) (レス) id: f2c2ccd8c9 (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - 冬乃さん» 冬乃さん、合ってます。私が間違ってました。いや〜……今までずっとキャッバローネだと思ってました。キャバッローネなんですね。ご指摘ありがとうございました!直しときます!! (2016年12月27日 16時) (レス) id: 9cc67b209f (このIDを非表示/違反報告)

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作者名: | 作成日時:2016年11月14日 14時

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