先に生まれというだけ

それぞれの思い　コブラside ページ44

Aが目を覚ました


後悔で押し潰されていた俺に、ありがとうと言った


どこまでも優しい奴で、ほんと敵わねぇなAには





・





初めて会ったあの日俺は無性にむしゃくしゃしててバイクを走らせていた



風と共に俺の元へ届いた歌声



興奮がだんだんと落ち着きに変わり、安らぎへ落ちていくような感覚



声に導かれるようにバイクを走らせれば、そこにAがいた



なにか尊いものに出会った



そう思った



聞くもの、見るものを魅了する



特別な歌声



だから俺は声を掛けた



そのときの驚いた顔と言ったら、ポカーンとした顔が可笑しくて可愛いと思った






・






"初恋だった"




気づいてたお前の気持ち



まさか言われるとは思ってなかったけどな



Aは吹っ切れたというか、俺に対しての思いやポジショニングが変わった



彼奴は博愛主義ってぐらい人を生き物を物を、愛することができる



スモーキーみてぇだな




A、俺も好きだった




一人の女性として



日に日に美しくなっていくAに歳がいなく、ましてや学生のAのことが俺は好きだ



明るく晴れた空のように、月のように儚く



その好きは、もう妹としてに変わっちまったが





毎日のように俺はAに会いに行く



行く度に増えていく見舞品



最近よく聞くようになった男の名前



この前までは苗字だったのに名前に変わってやがる





心配だ







将来、Aが選ぶ相手はきっとそれ相応の奴だろう




でもまぁ俺に劣る奴にはやる気はねぇ




しっかり俺が見極めてやる






第２のお兄ちゃんとしてな

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