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ずっとずっとおかしいと思っていた。
私は親元から離れたくて一人暮らしを始めただけなのに。それほど、家だって遠いところではないのに。刀也は一人暮らしをするのが心配だとか言って同じ高校についてきたり、隣の部屋に引っ越してきたりするんだ。
昔からそうだ。刀也は私が1人でおつかいに行くと言っても必ず着いてきた。何かしようとした時には必ず刀也はそばにいようとしてくれた。
なんでだろう、ずっと考えていた。
私はある日から、こう考えていた。
______刀也は、私のことが幼馴染として心配なんだ。
でも、今日分かった。刀也は私を幼馴染として見ていたわけじゃないんだ。
「Aのことがずっと大好きなんだよ……」
私のことを優しく抱きしめながら耳元でそんなことを言う。今まで聞いたこともないそんな声色に少しぞくぞくとしてしまった。
不破湊という彼氏が居るのにそんな気持ちをしてしまった自分に少し嫌になる。
でも、刀也が嫌いなわけでもない。
私はとてつもなく怖い。この大切な関係が全て壊れてしまうような気がした。
恩人であり大好きな彼氏である不破さん、そして優しい上司で良き友でもあるガクさん、私が昔からずっと一緒の大切な幼馴染である刀也、この4人の関係が変わっていってしまい、最終的には私は誰とも関わり合えなくなってしまうのでは、と怖くなってきた。
そんな顔色が悪くなってきた私を見て、刀也は愛おしそうな眼をしながら私の頭を撫でる。
「本当にかわいいなあ、A」
「……やめろ、刀也」
きっとこれからも私たちは素直になれない。
私は嫌でも気持ちを隠さなければいけない。関係が破綻してしまうから。
刀也、せめてでもさ、君がもう少し早く伝えてくれたなら__________
なんてわがまますぎだよね。
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にゃーちゃん - ホストで女の子は、それはもうキャバ嬢では…?そういうホストもあるんですかね?知識不足ならすみません!内容自体は凄く面白いです!更新頑張って下さい。楽しみにしてます! (6月6日 21時) (レス) @page15 id: fd6863f2a6 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:梓詩織 | 作成日時:2023年4月26日 19時