最悪だ ページ3
あの日あんな事を口走って、あいつの前で動揺して、物凄いくらいの羞恥心に見舞われた。最悪だ。
そんな僕の心情なんて気にせずあいつはにまにまと薄気味悪い笑みを浮かべている。あぁ、僕は今どんな顔をしているんだ。変な顔はしてないだろうか。
「君が言ったあの言葉、今でも忘れないよ♤」
「全くもって迷惑な話だ」
これは夏のせい
夏のせいだ
だってありえないから
顔が火照ってしまうなんて___
「それにしても、君動揺し過ぎじゃない？♢」
「なわけ」
ドキッと心臓が跳ねた。気おつけなきゃな、図星とバレないように。いつものように冷たくしなくちゃ。
「逆に聞くけど僕にそんなこと言われて嬉しいの？」
「嬉しいに決まってるだろ？♡」
「なんで、」
「なんで嬉しいんだ？」
夏の生ぬるい風が僕たちの間を通っていく
それさえも涼しいと感じてしまうほどに___
「…」
「答えたらどうだ」
「理由か、、」
「あぁ、理由だ」
「僕に言われたところでなんとも思わないのが普通だろ」
「さあね」
「それが普通かなんて誰にも分からないよ♢」
お前はいつものように軽く誤魔化した。本性なんて誰にも見せない、本音なんて零さない。お前は本当に、正真正銘のジョーカーだよ。
「、そうか」
「じゃあ僕そろそろ行くね？♤」
「一々言わなくていい」
「つれないなぁ♢」
「それじゃ♧」
お前は僕の返事なんて聞こうともせず、遠のいていく。さっきまであった2つの陽炎は僕を嘲笑うかのように消えていった。
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作者名：らりるれお | 作成日時：2023年11月20日 6時
