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『ふわっ…ッ』

こみ上げるあくびを噛み殺して、くわっと目元に力入れるけど、実際のとこデフォルト時の半分くらいしか目、開かない。

体と脳が必要な休みはきっと確保できてないもんだから、瞼はいつもはれぼったくて重くって。

常にけだるげ、アンニュイ、顔怖い、闇の女、女帝…女帝?まあ良いや、そんな感じに指摘されるけど、そんなの構ってらんないよ。


って、私は思ってるんだけど、お客さんのウケは良くてだ。


けだるげにしてるだけでうっとり注文追加してもらえるし、普段無愛想だからか気が緩んだ時ににっこり笑いでもしたらさらなる追加もあったりして。

ピザ屋だからか、海外のお客様も多いからチップも結構いただくわけで。

私は意図してないけどウィンウィンってこういうこと。


電話番号カトクのIDその他のアドレス色々毎日もらって、破って捨てて。


ここは入れ食いの釣り堀かってモテ期を謳歌するつもりなく、浴びるように甘受して、どうせ来年韓国には居ないんだからと、応えることなくただ黙々と勉強と留学準備を進める日々。


…なんだけど、このくそ忙しくてモテ期な恋風ほぼ無風の中で、なぜか。





大物が釣れてしまった。






個室は入り口に分厚い両開きのカーテンがあって。

『背中から失礼いたします』

って断って、両手のオーダーひっくり返さないように中に入ると、わっと歓声が上がった。

JM「ヒョン!ヒョン、だから言ったでしょ!一人で来るって!」

YG「あんだよ待ってよ、無理だろさすがにそれはさぁ」

HS「あー、マジか・・・俺さすがに二人で来るかと思ったのになぁ」

NJ「安パイ切るからですよ。ハイ、今日の支払いはユンギヒョンと、ホソガだな」

24卓客は5人のはずなのに妙に多いなって思ったけど、賭けてたのね。理解。

まあよくあることだから気にせず、盛り上がっている中そろっとテーブルにお盆を載せようと動いたら、ひょいっと両手の重みが消えた。


JK「ん」


椅子から立ち上がって、私の手からお盆を取ったのは、常連のお客さんの中でも太いお客さんの…ジョングクさんだった。

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作者名:フネ55 | 作成日時:2023年4月7日 11時

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