運命のヒト (ページ26)

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｢お待たせしました｣

店員さんが、ニッコリと微笑んでカクテルを置いた。

ペコりとお辞儀すれば、またニッコリと微笑んで元の場所へ戻って行く店員さんを見つめた後、ふと視線を手元に落とした。

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映されたロック画面には、通知を伝える連絡は一切なく。

あやな))…はぁ、

溢れるのは、溜息ばかり。

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あれから、臣からの連絡は一切と言っていいほど無くなった。

どうしても分からなくて、｢怒ってる？｣と送ってみたものの、付いたのは既読だけ。

確かに、彼は連絡するのはマメなタイプでは無いと思っていたけれど…。

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ー｢俺がお前を敬浩さんと釣り合うような女にしてやるよ｣

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そう言ったのは、臣なのに。

いざ私がやる気になった途端、これよ。

元々言い出したのはアイツなのだから、今更否定するなんて、卑怯だ。

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あやな))自分勝手
敬))随分難しい顔してるね？

その声にパッと顔を上げると、｢よっ！｣と私の横に座った敬浩さんが居た。

あやな))仕事、お疲れ様です
敬))ありがと

仕事終わりのせいか、少しだけ疲れた様子の敬浩さん。

壁にかかっている時計を見ると、19時を過ぎていた。

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敬))ごめんね、また待たせちゃって
あやな))いえ、全然大丈夫です
敬))あ、俺も同じの一つ

通りかかった店員さんにそう告げる敬浩さんを見つめる。

嗚呼、今日も格好良いなぁ。なんて。

そう思ってると、ふいに敬浩さんがこちらを見た。

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敬))何？もしかして、惚れた？
あやな))へ？
敬))冗談だよ

フッと笑った彼に、私は視線を逸らした。

…惚れてるのは、多分間違ってないし。

運ばれてきたカクテルを呑んでる敬浩さんを見て、嗚呼、この人にとっては何でもない一言なんだろうなぁと思った。

そんな事を考える自分が何だか嫌で、私は自分のカクテルを飲み干した。

あやな))…おかわり下さい

そう言えば、空になったグラスが下げられていく。

敬))…飲みすぎないでよ？
あやな))大丈夫です
敬))俺、家まで無事に送り届ける自信ないよ？
あやな))…その時は警察呼びますから
敬))こらこら

嘘だってば～と笑う敬浩さんに、私も笑みが零れた。

そうこうしてると、あっという間に次のカクテルが手元に届いた。

敬))あ、そうだ

2杯目を口にした時、敬浩さんがそう言った。

敬))今度さ、臣ちゃん励ますの会するんだけど、あやなちゃんも来る？