運命のヒト (ページ22)

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ポチャン、と湯船に浸かって、私はため息をついた。

天井を見上げて、フウッと息を吐く。

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ー｢ヤキモチなんじゃねーの？｣

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先日の臣の言葉を思い出した。

…ヤキモチなのかな。

確かに、敬浩さんが他の女の子と話しているのを見て、胸がザワついた。

出来ればその笑顔は、私に向けてほしい。

そう思ったのは、間違いない。

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だとしたら、どうして私は今、こんなにも臣のあの言葉に違和感を感じているのだろうか？

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あやな))…好き、なんだよね

臣の言う通り、私は敬浩さんの事が好きなのかもしれない。

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お風呂から上がって、髪を拭きながら部屋へ戻る。

化粧水を付けようと思い、ふと鏡を見た時、棚の前に何が落ちていることに気づいた。

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あやな))…これ

これは、再会した時に臣が私にくれた連絡先。

結局、臣が先に私に電話をくれたから、これを使う事は無いまま、どこかに行ってしまったと思ってた。

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…再会したあの時は、こんな事になってるなんて想像もしていなかったのに。

臣の達筆な文字を見つめてると、突然スマホが私を呼び出した。

手に取ったスマホのディスプレイには、｢敬浩さん｣の文字。

紙をテーブルの上に置いて、私は画面をスライドさせた。

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あやな))も、もしもし…
敬))あ、あやな))ちゃん？

その声を聞いて、トクン、と胸が高鳴るのを感じた。

敬))ごめんね、急に電話して
あやな))全然大丈夫です
敬))あのさ、お誘いなんだけど
あやな))お誘い？
敬))来週の日曜って、空いてる？
あやな))空いて…ますけど
敬))じゃあ、俺とデートしよっか

…え？

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デート？

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あやな))私と、敬浩さんが、ですか？
敬))もちろん
あやな))…は、はい

じゃあ待ち合わせはまた連絡するね！と言って、敬浩さんとの電話は終わった。

何が何だか分からない内に返事をしてしまったが…。

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私、今敬浩さんとデートの約束したんだよね…？

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あやな))どうしよう…

ふと、スマホのロックを解除して臣とのトークを開ける。

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｢ねえ、どうしよう？｣

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送信ボタンを押す手前、手が止まった。

しばらく考えて、その文字は全て消した。

大丈夫。

臣に連絡しなくたって、私なら出来るもん。

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スマホをベッドに放り投げて、私は化粧水を手に取った。