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もうため息はさっきので終了。
これより至福の時間の初まり。
今だけはすべてを忘れるべし。
待ちきれなくて、ワインより先に勢い良くチーズを口に放りこむ。
チーズというより濃厚なミルクを想像させる好みの味。
今日はいつもと違う味にしてみたくて、チーズの半分に上から軽くハーブソルトをかけてみたけど、それもまた美味しい。
これはワインも進みそう。
かけた一手間といつも通り美味しい味にご機嫌でスパークリングワインに手をのばす。
脚の間にはさんで慎重にコルクを抜くと、ポっ、と可愛い音とともに甘い香り。
まだ飲んでもいないのに香りだけで美味しさが想像できて口元が緩む。
早く堪能しようとグラスに注ごうとしたところで横からのびてきた手にボトルを奪われた。
「ほら、女の子が手酌しなさんな。・・・行き遅れる、って言うでしょ？(笑)」
くくっ、って笑いながらグラスに注いでくれる。
行動は優しいのに言う事は憎たらしい。
でも、嬉しい。
こういうとこ、好き。
それに・・・腕細いけど、やっぱり男の人。
ボトルもってるせいで前腕に浮き出た筋がカッコい＿＿＿
・・・・・。
はぁ、・・・ほんと自分がバカでやだ。
「・・・その言葉、セクハラだから」
もっと見ていたかった腕から視線をそらし、自分が思ったことは棚に上げごまかすように文句を言う。
顔が暑い。
" 友達 " だし、普段から " 男 " ってことを意識させないから、こういう時余計に感じ取ってドキドキするのが嫌。
意識したことで2度見してしまいそうなのをグラスに注がれてシュワシュワと小気味いい音を立ててるワインへと集中することでやり過ごす。
魅惑の甘い黄金色の液体。
私の大好きな銘柄のスパークリングワイン。
早く飲んでと言わんばかりに誘惑してくるそれに、ごくりと喉が鳴った。
和也にまで聞こえたみたいで、
「どんだけ好きなのよ(笑)」
って、また笑うから、
せっかく落ちついたのに、また絶対 赤くなってる。
「お姉さん、 こぼさないでよ？」
グラスを渡してくれるその手の先をまた見そうになって、慌てて受け取ったグラスへと口をつけた。
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作者名：にじます
| 作成日時：2015年1月29日 20時
