たとえ運命の人じゃなくても【nino】 (ページ11)

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会った瞬間に惹かれて。

話すうちにもっともっと好きになった。

ある時、飲んでる途中にスマホが光って画面を確認した和也が席を立つ。

戻ってきた和也に、

「これ？(笑)」

と古臭く小指を出しニヤニヤ聞いた馬鹿は誰だったか。

それに対して

「まぁ、ね」

と、笑った和也。

ぷくりと育ち始めた恋心は大きくふくらむことなくその場でしわしわになった。

ふくらんだところで可能性なんて最初からない。

　芸能人だから

それもある。

まったく別世界の人。

そう思ってたのに＿＿

なぜか定期的に飲むようになって、そばにいれるようになっちゃって。

それでもいつかチャンスがあるかも、とも思わなかった。

思えなかった。

その小指を出した馬鹿があとで彼女が誰か教えてくれたから。

それでもトドメが足りないとでもいうように教えてもらった数日後、あの子とのツーショット写真が雑誌に載って世間を賑わせた。

あの時、見なきゃいいのにわざわざ本屋に行って

立ち読みしてさっと流し見るだけにとどめればよかったのに、表紙に書かれた見出しを見ただけで開く勇気がなくなって

馬鹿なことに買って帰った。

しかもまだ持ってる。

・・・たぶん。

捨てた記憶ないから捨ててない他の雑誌と一緒に混ざってるはず。