私の特権 ページ10
朝の5時過ぎ、まだ寝ぼけていたジョディに見送られて、マンションの入り口で彼と落ち合う。
『…朝弱い癖に、こんな早くにお迎えよく来れたねえ』
「安眠出来てないからな…誰かさんがつれなくて」
『今から帰れば、二度寝する時間がある…そういう事かなdarling?』
彼がわざわざ早朝に車を回してきた意図に気付くと、彼は目を細めて笑った。唐突に予定を狂わせたのはこっちだし、仕方ないか。自分から運転席を買って出ると、私はハンドルを握った。
ーーーー
「やっぱりお前の運転は少し荒いな…」
『任務じゃないんだから、別にいいでしょう』
それに、急がせたのはそちらの方だろうに。部屋の扉を閉めるなり、私の身体は浮いた。そのまま二人してベッドにダイブ、彼も私を引き寄せて横たわる。小さな欠伸が聞こえたので、彼はやっぱりまだ眠いらしい。
『起きたら、ちょっと意見交換ね』
「…ん」
かすかな返事をしたかと思えば、彼はそのまま私の首元にすり寄って目を閉じた。…許されてるなあ、私。自らの眠気が来るまで、腕を回してゆっくりと彼の背を撫でる。彼の表情が和らぐのを感じながら、ふと思うのだ。
『(周囲に打ち解けてほしいとは思うけど、私だけの特権であってほしい気持ちもあるんだよね…わがままかな)』
こんな無防備な表情まではいかないにしても、彼が心を許す存在が増えてしまうのは面白くない。それでも、一人くらいそんな彼を共有できる存在が現れてくれてもいいという気持ちとの…葛藤が起きている。
『(私のホームズに匹敵する人…私以外の、彼の理解者が現れる日は、来るのかな…)』
今は二人揃っているからいいが、何か万が一で引き離された時…理解されにくい彼を理解出来て動ける人、そして今の戦況に別方向からアプローチをかけてくれる人。あり得ないと思いつつもそんな存在をほんの僅かに願いながら、私もゆっくり目を閉じた。
ーーーー
瞼に何か触れている感覚と共に目が覚めて、そっと目を開く。案の定彼と至近距離で目が合って、微笑まれた。感覚の正体は、彼の唇だったらしい。
「good morning,honey」
『good morning,darling…よく眠れた?』
「ああ、ばっちりだ…ん」
満足そうに微笑んだ彼から、今度は唇にキスが送られる。味わうかのようにしばらくゆっくりと唇を食まれ、そっと離された。
『ふふ…よく我慢出来ました』
「今は勘弁しといてやる…夜はどうなっても知らんがな」
聞かなかったフリをして、私は彼の腕からすり抜けた
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リュウヤ(プロフ) - 優花さん» メッセージありがとうございます。私はまだ映画を見られていませんが、赤井さんが1番の推しです。なかなか話を書く余裕がないため一旦停止としてますが、見つけてくださってありがとうございます。励みになります! (2021年7月6日 0時) (レス) id: 8b594e4d48 (このIDを非表示/違反報告)
優花 - 緋色の弾丸を見て、ココに来ました。 赤井さんはカッコいいですよね! 詳しくはないですが、コナンの中で、一番の押しです。 更新停止なのは仕方がないですが、復帰を願っています!頑張ってください! (2021年7月4日 20時) (レス) id: ef3d2855ab (このIDを非表示/違反報告)
リュウヤ(プロフ) - 真由さん» メッセージありがとうございます。理想だけ詰め込んだ赤井さんです…!映画もうすぐですね、ぼちぼち構想練ろうかな〜と思いつつあります。観に行ったら正気でいられる自信がないですね…w (2021年4月14日 17時) (レス) id: 441313cccd (このIDを非表示/違反報告)
真由 - 丸々1日かけて一気読みしました!めちゃめちゃめちゃ好きです!!!毎シリーズ(?)赤井さんのスパダリ具合にぎゃあぎゃあ叫びました笑次の更新までにもう一周してこようと思います。(((\(≧∀≦`)/))) (2021年4月13日 20時) (レス) id: 553236276e (このIDを非表示/違反報告)
リュウヤ(プロフ) - 星の桜さん» メッセージありがとうございます。随分前の作品を見てくださってありがとうございました。そちらもコロナにはお気を付けて。気長にお待ちください! (2020年4月27日 8時) (レス) id: 441313cccd (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:リュウヤ | 作成日時:2018年7月27日 23時