時間は刻々と ページ40
闇が支配する屋上は、私たち2人しかおらずとても静かだった。
『今かしらね…あの策を使う時は』
「…かもな。奴ら、今度こそ逃してはくれないだろう」
『いつかは来ると思ってたけど、案外早かったね。思ったより動揺してないなあ…不思議』
「嘘つけ、少し無理してるだろう。声が震えてる…俺に通じるとでも思ったのか?」
『寒いからって事にしておいて、そこは見逃してくれてもいいんじゃない?長期的に離れて行動するの、別にこれが初めてじゃないでしょう』
潜入捜査では互いに接触を避けるのはよくある事…自分にそう言い聞かせるが、やはり離れるのは少し寂しい。薄く笑い、しばしの沈黙。並んで触れ合った肩と、遠慮がちに絡んだ指先の温もりだけが感覚を支配する。互いに何も言わないが、それは心地よい時間だった。
「ねぇ…ちょっと話しない?」
「フン…奴らを迎え撃つ策ならまだ思案中だが…」
屋上のドアを開けその沈黙を破ったのは、やはり少年だった。気付かれないよう、尚且つゆっくり惜しむように指先が離される。もう少しだけ繋いでいたかったが、流石に少年の手前自重した。
「でもさーボク、2人を見てて思ったよ!もしかしたらボクと同じ事、考えてんじゃないかって!」
「ホー…」
『聞かせてもらおうじゃないの、答え合せしましょうか…little Holmes?』
不敵な笑みで見つめ合う私たち。一世一代の作戦は、ここから始まりを告げるのだ。
「2人が味方でよかったよ…」
「ボウヤもな…」
「それで?どうする?イチかバチかのこの大勝負…乗ってみる気ある?」
『それは愚問というものよ、少年』
ーーーー
私たちが合流した時には、既に作戦会議は終盤のようだった。作戦としては、3台のストレッチャーとバンを使うらしい。見ただけで何となく察せる…実に単純な物。
『あまり良くはないけど…まあいいか、多少撹乱するくらいには』
「あ…」
『…気を付けてよ。開始までに何とかしなさい、
「ああ…すまん」
手元を狂わせて缶コーヒーを落とした彼に、それとなく注意を促した。
「ちょっと大丈夫!?ロクに寝てないんじゃないの?目の下に隈できてるし…」
いや、それは元からだし。こんな局面だというのに、ジョディの言葉がおかしくて笑ってしまった。
『心配しないでも、ちゃんとそこは私が管理してるから』
「あ…そうよね。ごめんなさい、私もちょっと緊張してるみたい」
大丈夫だよと言って、彼女をそっと抱きしめて頭を撫でた。いくらか安心した表情を見せてくれたので、私も安堵する。
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リュウヤ(プロフ) - 優花さん» メッセージありがとうございます。私はまだ映画を見られていませんが、赤井さんが1番の推しです。なかなか話を書く余裕がないため一旦停止としてますが、見つけてくださってありがとうございます。励みになります! (2021年7月6日 0時) (レス) id: 8b594e4d48 (このIDを非表示/違反報告)
優花 - 緋色の弾丸を見て、ココに来ました。 赤井さんはカッコいいですよね! 詳しくはないですが、コナンの中で、一番の押しです。 更新停止なのは仕方がないですが、復帰を願っています!頑張ってください! (2021年7月4日 20時) (レス) id: ef3d2855ab (このIDを非表示/違反報告)
リュウヤ(プロフ) - 真由さん» メッセージありがとうございます。理想だけ詰め込んだ赤井さんです…!映画もうすぐですね、ぼちぼち構想練ろうかな〜と思いつつあります。観に行ったら正気でいられる自信がないですね…w (2021年4月14日 17時) (レス) id: 441313cccd (このIDを非表示/違反報告)
真由 - 丸々1日かけて一気読みしました!めちゃめちゃめちゃ好きです!!!毎シリーズ(?)赤井さんのスパダリ具合にぎゃあぎゃあ叫びました笑次の更新までにもう一周してこようと思います。(((\(≧∀≦`)/))) (2021年4月13日 20時) (レス) id: 553236276e (このIDを非表示/違反報告)
リュウヤ(プロフ) - 星の桜さん» メッセージありがとうございます。随分前の作品を見てくださってありがとうございました。そちらもコロナにはお気を付けて。気長にお待ちください! (2020年4月27日 8時) (レス) id: 441313cccd (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:リュウヤ | 作成日時:2018年7月27日 23時