発覚と犠牲 ページ45
※少し流血表現に注意。
建物の奥に進むにつれ、明らかに他と様子が違うことに気付かされる。人気がないのに高性能の家電、やけに綺麗すぎる室内。電気機器の配置は不自然な位置だし地絡回路遮断器らしき物まである。これらが示す物はつまり…。
『(大麻、ここで栽培してるな…?)』
大麻を秘密裏に栽培するのに整えられた空間とみた方が自然だ。栽培をバレないようにするには色々なリスクが伴う。匂いや嵩む電力を誤魔化すために、設備を整えることは必要だったのだろう。
『(肝心の葉っぱ本体は…もうここから持ち出された後か、遅かった)』
一通り眺めた所で不意に物音がし、銃を構え直した。
『…誰かいるの?』
銃口の先に見えたのは、テーブルの下に隠れたまだ幼い子供だった。震えているところを見ると、害はなさそうだが…何故ここに。
『君、どうしてこんな所にいるの?ここは危ないから出ておいで』
少しだけ銃口を逸らしてなるべく優しく声をかけると、少し躊躇いつつも歩み寄ってきた。よく見ると身体は傷だらけで、注射器の跡が残ったまま。抱きつく腕は震えている。
『まさか、こんな子供まで犠牲に…』
考えたくなかった。でも、状況を見るに麻薬の実験台にさせられていただろうことは明らかだ。
『私が外まで連れて行ってあげるから、大丈夫』
「あ…お姉さん、だめ」
『え、どうしたの…』
「早く逃げて!」
子供の声に慌てて顔を上げた時は遅かった。子供が血飛沫を上げて倒れていく姿が、やけに鮮明に見える。子供を貫通したらしい弾が、私まで届いて皮膚を抉ったのが分かる。
『(しまった…子供を囮にしたんだ!まだ人がいる…どこから狙撃した?!)』
幸い私の方はまだ動けるが子供は出血が酷い。庇いながら応戦するには不利だ。
「そのまま伏せろ!!!!」
必死に策を考えていた時に聞こえた指示に、身体が動いた。狙撃と人がもつれ合う音を聞きながら、自分の身体で子供を庇う。しばらくして、音は止まった。
「主犯格確保しました…はい、お願いします」
『秀一…』
案の定、声の主は私の相棒で。主犯格らしき男が床に縛られて倒れていた。
「じきにこの男も回収される。よくやった…これで、終わりだ」
労わるように頰を撫でる手が、やけに優しくて涙が出た。喜びたいのに、身体が動かない。
『この子…囮で、撃たれて…っ』
「救急車は呼んであるが…貸せ」
動けない私の代わりに彼が子供の止血をしてくれた。サイレンがやけに遠く聞こえる
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アハッ!(^o^ゞ - わかりました。 これからも更新応援しています!(*^-^*) (2020年7月16日 21時) (レス) id: 7b7bfd9a97 (このIDを非表示/違反報告)
リュウヤ(プロフ) - 何度か名前変換の件は来ていて申し訳ないのですが、最初に書いてある通り付ける予定はありません。理由も変わりませんし、過去作の無印から4まで何十何百箇所ある全て修正する事に割ける時間と余力も足りません。どうかご了承下さいませ。 (2020年7月11日 23時) (レス) id: 441313cccd (このIDを非表示/違反報告)
アハッ!(^o^ゞ - 私からもお願いします(^.^)(-.-)(__) (2020年7月10日 20時) (レス) id: 7b7bfd9a97 (このIDを非表示/違反報告)
舞(プロフ) - 自分の名前を設定できるようにしていただきたいです。 (2020年5月26日 18時) (レス) id: e826140184 (このIDを非表示/違反報告)
クーニャン(プロフ) - ニュアンスでこう言ってるかも??で読んでます。英語、楽しいですか?ルビお願いします。 (2018年12月10日 22時) (レス) id: a023cd468e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:リュウヤ | 作成日時:2018年4月26日 11時