言葉にしなくても ページ38
秀一と付き合うようになって、変わった事がある。まず一つ…互いの家を行き来する機会が増えた結果、半同棲になりつつある事。何かあれば近い方の家に転がり込むのが暗黙の了解みたいになって、互いの持ち物が増えていくのだ。
『ちょっと物が増えてきたね…どっちの家だかわからないくらい』
「俺は別に、嬉しいからいいがな…いつでもお前を感じていたいから」
『…またサラッとそういう事言う』
私の膝を占領している相棒は、二人になるといつもより少し甘えたになる。スキンシップ過多の典型的な外国人気質で、そのくせ私に触れるその手はとても優しい。
「思った事を言ったまでだが?」
彼のストレートな言葉は嬉しい、けれどもまだ私が慣れないのでどう返すべきか未だにわからない。だけど、言葉にしなくても彼に私の心中はバレバレのようで。耳まで真っ赤な私を見てとても嬉しそうに微笑む彼に、今日も翻弄されて終わる。
『…恥ずかしい奴』
「でも、お前もそんな俺が好きだろう?」
『…すき』
「フッ、知ってる」
仕事上では頼れる相棒だけど、恋人としての彼の前ではどう足掻いても、女になる。もどかしいんだけど、それも最近は嫌じゃなくなってきたのに気付いて、私もだいぶ丸くなったなあと思う。
『これでも結構、当たり前の…人並みの幸せをたくさんくれる秀一に感謝してるんだよ、私』
「…どうした、今日はやけに素直だな?」
珍しい、と目をパチクリさせて私を見上げる彼。そ、そんなに意外か。私だって頑張ればちゃんと言えるんだよ。
『いつも察してくれるから言わないんだけど、やっぱり言葉にしたいなって…思ってはいるから…。ああああ、慣れない事はするもんじゃない!』
「本当にな、可愛すぎて困ってしまう」
羞恥心に負けて顔を覆う私を、身体を起こした秀一からの優しい抱擁が包む。本当はもっと言いたいんだ。あなたの心音に包まれると落ち着くとか、今は見えないけど、私を愛おしそうに見つめる綺麗な眼が好きだとか。
今まで気付かなかったけど、言いたいことがいっぱいあるの。こんな気持ちになったのはあなたが初めてで、うまく表現出来ない。
『責任、取って…』
「ああ、とびっきりお姫様にしてやる」
言葉はまだ少ないけれど、その分態度は雄弁に語る。いとも簡単に私の手が剥がされ、あちこちに優しい優しいキスが降る。触れ合うのは好き、けど私はね、朝起きた時に隣で微笑む君が一番好き。
『(恥ずかしいから、言ってやらないけどね)』
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アハッ!(^o^ゞ - わかりました。 これからも更新応援しています!(*^-^*) (2020年7月16日 21時) (レス) id: 7b7bfd9a97 (このIDを非表示/違反報告)
リュウヤ(プロフ) - 何度か名前変換の件は来ていて申し訳ないのですが、最初に書いてある通り付ける予定はありません。理由も変わりませんし、過去作の無印から4まで何十何百箇所ある全て修正する事に割ける時間と余力も足りません。どうかご了承下さいませ。 (2020年7月11日 23時) (レス) id: 441313cccd (このIDを非表示/違反報告)
アハッ!(^o^ゞ - 私からもお願いします(^.^)(-.-)(__) (2020年7月10日 20時) (レス) id: 7b7bfd9a97 (このIDを非表示/違反報告)
舞(プロフ) - 自分の名前を設定できるようにしていただきたいです。 (2020年5月26日 18時) (レス) id: e826140184 (このIDを非表示/違反報告)
クーニャン(プロフ) - ニュアンスでこう言ってるかも??で読んでます。英語、楽しいですか?ルビお願いします。 (2018年12月10日 22時) (レス) id: a023cd468e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:リュウヤ | 作成日時:2018年4月26日 11時