大型犬と子猫 ページ36
『皆さん、どうかしました…?』
「いや、相変わらず息ぴったりだなあと思ってね」
なんか、周りがすごく微笑ましい光景を見る目なんですけど。感心された人もいるみたいだけど、なんか違うのは私でもわかるわ。
「ニーナと組んだ時のシュウ、生き生きしてるもの…」
「負け無しって感じだよな」
『そりゃあ、候補生時代の大半組んでましたし…慣れですよ慣れ』
あとは互いに思考その他諸々が似ていて、言葉が少なくても理解出来るから…とは言わないでおく。流石に恥ずかしい。
「これが阿吽の呼吸ってやつか…頼もしい後輩たちが入ったなあ」
「やだ、何しみじみしてるのよ!オッサンみたい!」
和やかな空気に包まれて、気の抜けた私も思わず笑った。じゃあお先に休憩上がるねー!と、彼の帰りを待つ私を残して続々と人がいなくなる。
『さて…あいつが帰ってくるまでに終わるかな』
再びパソコンに向き直った私は、報告書に手を付けるのだった。
ーーーー
文章をチェックし粗方終わった…と息を吐く。いつのまにか部屋に残っていたのは私一人になっていた。すると、ふと目の前に影が射し、ゆっくり腹部に回る腕と背中に伝わる温もり。
「ただいま…」
心なしか疲れたような声色で抱き付く相棒。
『おかえり、大活躍だったね』
よしよし、と宥めるように回された腕をぽんぽん叩く。本当に急いで帰ってきたらしく、ほんのり汗の匂いがした。頭をぐりぐり押し付けてくるのがなんだか大型犬みたいで可愛いので、しばらくそのままにさせておく。
『お腹空いたでしょう、そろそろ休憩上がろう?』
「ん…。お前の好きなやつ、買ってきたぞ」
私から腕を離した秀一が目の前に紙袋を掲げる。焼きたてのパンのいい香りがして、思わず頰が緩んだ私につられて彼も微笑む。
「あ、シュウ帰って来てたのか!俺ら戻って来たことだし、早く休憩上がってこいよ」
何人かの先輩たちがぞろぞろと戻って来る。潮時だろうと判断し、私たちはお言葉に甘えて席を後にした。
「…あいつら、隠すつもりないよなあ」
「絶対昨日で付き合ったよな、あれ」
「最初からシュウのセコムすごかったもんな…おめでとう…」
「シュウといる時のニーナ、表情がすごく柔らかくなるのよね…cute」
「強面かと思えば、シュウも可愛いところあるんだなあ…」
「「大型犬と子猫かな…」」
休憩に向かう私たちを眺めながら先輩たちがそんな会話をほのぼのと繰り広げているとは、私たちは夢にも思っていなかった。
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アハッ!(^o^ゞ - わかりました。 これからも更新応援しています!(*^-^*) (2020年7月16日 21時) (レス) id: 7b7bfd9a97 (このIDを非表示/違反報告)
リュウヤ(プロフ) - 何度か名前変換の件は来ていて申し訳ないのですが、最初に書いてある通り付ける予定はありません。理由も変わりませんし、過去作の無印から4まで何十何百箇所ある全て修正する事に割ける時間と余力も足りません。どうかご了承下さいませ。 (2020年7月11日 23時) (レス) id: 441313cccd (このIDを非表示/違反報告)
アハッ!(^o^ゞ - 私からもお願いします(^.^)(-.-)(__) (2020年7月10日 20時) (レス) id: 7b7bfd9a97 (このIDを非表示/違反報告)
舞(プロフ) - 自分の名前を設定できるようにしていただきたいです。 (2020年5月26日 18時) (レス) id: e826140184 (このIDを非表示/違反報告)
クーニャン(プロフ) - ニュアンスでこう言ってるかも??で読んでます。英語、楽しいですか?ルビお願いします。 (2018年12月10日 22時) (レス) id: a023cd468e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:リュウヤ | 作成日時:2018年4月26日 11時