赤井秀一の悪友【名探偵コナン】

覚悟とひと時の休息 ページ21

月日は流れた。私は今、候補生として最終試験に挑んでいる。聞いて驚け、手段の一つがなんと今時"嘘発見器"なんだ…古風だなあ。

「最後だ。君は、アメリカのために尽くせるか？」

『はい』

母の愛した、そして私の育った故郷だから。だから私は、アメリカに残ってアメリカで自分に出来る事をすると決めたのだ。迷いはない。

「いいだろう、君への質問は以上だ。戻って構わない」

『…ありがとうございました』

正直、あんまり緊張する程ではなかった。そもそも嘘発見器の大前提に、使用者の緊張など身体的な特徴の変化に反応する…というものがある。自負しているけど、私は上官相手だろうが緊張するような性格ではない。もっと怖い物知ってるしね。

『相棒は無事に終わりましたかねえ…』

周囲は、一喜一憂する同期たちのなんとも言えない空気で溢れている。もうすぐ、みんなそれぞれの道を行くんだ…そう思うと、少し寂しくなるな。

『(そして、心なしか周りが浮ついている…。落ち着けみんな、まだ終わってないぞー)』

張り詰めた候補生時代に終わりが見えたからか、空気が少し緩んでいる気がする。

「やっと見つけたぞ、探した」

『おー、ご苦労さんでーす』

最早お馴染みになった手の感触が頭を撫でた。思わず頭を擦り寄せると、彼はピタリと動きを止めた。どうしたどうした？

「ん"ん"…猫かお前は…」

『…にゃー？』

悪ノリして鳴き真似をすると、更にぷるぷる震えて止めろ…とストップをかけてくる。よくわからないが、珍しい姿が見られたので良しとしよう。

『ところで相棒や、手応えはあったかね？』

「ふ、俺を誰だと思ってるんだ？お前の相棒だぞ」

今度は何故だか、周りの浮ついた雰囲気も嫌じゃなかった。ちょっとくらいは、私もこの空気に馴染ませてもらってもいいだろうか…なんて。

『いかん…ここにいるとつられて気が抜けてしまう…まだ先があるというのにーっ』

「いいんじゃないか、別に…。むしろ、今くらい楽しんでおいた方がいいと思うが？最後の日はパーティもあるって話だからな」

『そういや、そんなのも聞いたな。本当にやるんだ…馴染める自信がないわ』

「なんだ、お前なら何でも似合いそうなもんだが？なんなら選んでやろうか」

『ええー、秀一えげつないの選びそうだからヤダ』

「ホォー…そんなイメージなのか？」

『ごめんて、睨むのやめよ？怖いんだよ』

後日、無事に2人揃って卒業決定のお達しが来ました。同期のみんなもお疲れ！

番外編:Happy birthday,little detective!→←誰しも苦手な物はある

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す