頼られるのも悪くない ページ19
秀一はまだ寝惚けているのか、視線が宙を見つめている。かと思えば、頭に置いていた私の手を掴んで自分の頰に擦り寄せ…いやいやいや。
『しゅ、秀一さーん?何してんの?』
「んん…いいから…そのまま…」
『いや、私が良くない!』
思わず思いきり叫ぶと、うるさい…と言わんばかりに顔を顰めて手を更にぎゅうぎゅう握ってくる。何だこいつ、本当に何してんの?それを可愛いとか思う私大丈夫?大丈夫じゃない。
『声が響くんだよね?大声出したのはごめん…でも、離してくれないと私動けないから』
「動かなくていい…そこに、いてくれ」
そのまま腕を引かれてしまえば、私の上半身は奴の上にうつ伏せで投げ出され…完全に動きを封じられてしまった…
『…私重くない?』
「全然…むしろ、ぬくい…」
『はあああ…』
本当、どうしてこうなった…。下からは規則正しい鼓動がしっかりと聞こえてくる。それで落ち着きを取り戻し、視線を少しずらせば…いつもより上機嫌な相棒が私の髪を梳いていた。
「すまないな、心配かけただろう」
『そうね…いないなーと思ったら教官から"あんたが倒れたから様子見て来い"って言われた私の気持ち、わかります?』
「…悪かった…」
奴が犬なら、シュン…と垂れた耳と尻尾が見えることだろう。本気で反省しているようだから、許してやるか。
『もういいよ、別に。顔色、だいぶ良くなったみたいだし。来た時、もっと酷かった』
眉が寄るのが自分でもよくわかる。今になって何で涙が出てくるんだ…お願いだから、止まって。
「泣かないで…可愛い顔が台無しだ」
顔を逸らそうとしたけど、それより先に秀一の親指が目元を拭う。慈しむように優しく、何度も。何故だかその仕草に、急に羞恥心が増した。
「ふっ…真っ赤だな、顔」
『う、るさい…秀一の、せいだもん』
「そうだな、俺のせいだ」
それでも指は止めないんだから、あなたは意地悪だ。腹いせと言わんばかりに、今度は私がその手を掴んでやった。驚いた彼に、してやったりと笑う。そこで、私の意識はぷっつり途絶えた。
ーーーー
「そこで寝落ちるか、普通…」
その場に残された彼は、額を空いた方の手で覆った。彼の相棒は、とことん彼を振り回さないと気が済まないらしい。それでも、悪い気はしなくて。繋いだ手はそのままに、彼も2度目の微睡みに身を委ねるのだった。
「おやおや仲のいい…」
その後戻ってきた担当医はいつ起こそうかと、2人を笑って見守るのだった
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アハッ!(^o^ゞ - わかりました。 これからも更新応援しています!(*^-^*) (2020年7月16日 21時) (レス) id: 7b7bfd9a97 (このIDを非表示/違反報告)
リュウヤ(プロフ) - 何度か名前変換の件は来ていて申し訳ないのですが、最初に書いてある通り付ける予定はありません。理由も変わりませんし、過去作の無印から4まで何十何百箇所ある全て修正する事に割ける時間と余力も足りません。どうかご了承下さいませ。 (2020年7月11日 23時) (レス) id: 441313cccd (このIDを非表示/違反報告)
アハッ!(^o^ゞ - 私からもお願いします(^.^)(-.-)(__) (2020年7月10日 20時) (レス) id: 7b7bfd9a97 (このIDを非表示/違反報告)
舞(プロフ) - 自分の名前を設定できるようにしていただきたいです。 (2020年5月26日 18時) (レス) id: e826140184 (このIDを非表示/違反報告)
クーニャン(プロフ) - ニュアンスでこう言ってるかも??で読んでます。英語、楽しいですか?ルビお願いします。 (2018年12月10日 22時) (レス) id: a023cd468e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:リュウヤ | 作成日時:2018年4月26日 11時