探り合いと信頼と ページ13
『ごめんて…タイミング悪かったんだもん。で?結局どっちが勝ったの』
「教官曰く、僅差で俺だとさ」
やっぱりなー、そうだよねー!犯人役確保は私だけど、脱出の時ほぼ秀一頼りにしてたからなぁ…まあいいや。
『そんな気はしてた。おめでとう、今回は何が聞きたいの?今なら何でも答えるよ私』
教官たちの意向とはいえ、私1人ではここまで傷を抑えて戻れなかっただろうから…今日くらい、なんて思った私が間違いだった。
「そうだな、ずっと聞きたいとは思っていたんだ。お前が、FBIに入った本当の理由を」
『…はい?』
珍しく真面目な顔をするな…と思えば、予想外の言葉が返ってきて。不意打ちを食らった私は、手にしていたピンセットを落としてしまった。カシャン、という金属音がやけに響いて聞こえる。
『本当の、って…』
「父親を知らないから、素性を調べるために…というのは本心ではないだろう?それなら、民間警察でも十分のはずだ。なのにあえて
『やめて…』
「それ以外に、決死の覚悟が必要な何かがあったんだ。そう、父親でないなら母親…」
『Stop!!』
「…Sorry.でも、正解なんだな?」
無意識に強く握りしめていたらしい拳を、彼の手がそっと包んで開かせる。もう片方の手は、優しく背中をさすってくれている。急激に冷えた体が、次第に熱を取り戻す。
『そ、だよね…秀一くらい頭が切れるなら…そのうち、気付かれてもおかしくないって、思ってたんだ』
「俺たちは本質的に似ている。それならきっと、ここを選ぶ理由も同じなんじゃないかと…思ってはいた。確信を得たのは最近だがな」
ここに入るために切り捨ててきた青春、上位をキープするための努力の尋常さ…彼には、きっと見えていた。"自分を顧みない本当の理由"が。
『敵わないなあ…秀一には』
「それはこっちのセリフだ。ここまで世話の焼ける奴、他にはいない」
『何だそれ…』
それから、私たちは話し合った。私は母親を殺めた人物を何かしらの組織ぐるみだと思って調べていること、秀一は父親の失踪に関わっているだろう組織を追っていること。
どこまで私たちは、似ているのか。ここで出会えたのは、何かの運命だったのかも。
「もし追う物が同じとしたら…互いに協力する方が都合が良い。1人で突っ走らないでくれよ?honey」
そう言って手の甲にキスを落とす姿は、キザったらしいけれど。
『共同戦線ね、いつも通りじゃない』
多分誰より頼もしい。
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アハッ!(^o^ゞ - わかりました。 これからも更新応援しています!(*^-^*) (2020年7月16日 21時) (レス) id: 7b7bfd9a97 (このIDを非表示/違反報告)
リュウヤ(プロフ) - 何度か名前変換の件は来ていて申し訳ないのですが、最初に書いてある通り付ける予定はありません。理由も変わりませんし、過去作の無印から4まで何十何百箇所ある全て修正する事に割ける時間と余力も足りません。どうかご了承下さいませ。 (2020年7月11日 23時) (レス) id: 441313cccd (このIDを非表示/違反報告)
アハッ!(^o^ゞ - 私からもお願いします(^.^)(-.-)(__) (2020年7月10日 20時) (レス) id: 7b7bfd9a97 (このIDを非表示/違反報告)
舞(プロフ) - 自分の名前を設定できるようにしていただきたいです。 (2020年5月26日 18時) (レス) id: e826140184 (このIDを非表示/違反報告)
クーニャン(プロフ) - ニュアンスでこう言ってるかも??で読んでます。英語、楽しいですか?ルビお願いします。 (2018年12月10日 22時) (レス) id: a023cd468e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:リュウヤ | 作成日時:2018年4月26日 11時