72 ページ12
午前11時に指定されたのは映画館の前の小さな広場
小さなスクリーンが話題の映画の予告を流してて、小さな子がそれを興味津々にみていた。
5分前には着いたのに、徹の方が先にいて…。
ジーンズに白いTシャツ。羽織のジャケット片手にスマホを操る姿がそれだけで様になっていた
「待った?」
及川「うん、待った笑」
「いやいや、徹が早かったんじゃん!ていうか、そういう時は待ってないって言うでしょ普通!」
及川「だって30分も早く着いたんだよ?待ったって正直に言うでしょ笑」
キラキラの笑顔で笑われて、なんだか調子が狂う
「映画見るの?」
及川「うん、見たいのがあったんだよね」
チケットを渡されて、そのままにスクリーン4番
一番後ろの真ん中の席はベストポジションだって、昔から言っていたのは変わらないみたい。
「やっぱり一番後ろの席なんだね笑」
及川「え?」
「いやだって、言ってたじゃん?高校の時大してデートもいけなくて映画行くたびに俺は背も高いから一番後ろなら迷惑かけないし見やすいしベストポジションだって」
及川「あ…あ。うん笑 そう、相変わらず一番後ろがベストポジションだよ笑」
あれだけ昔のことでも一瞬で記憶が蘇った
まるで高校時代に戻ったときのように感じた
始まった映画は、そこまで話題になるわけでもない洋画だった。
認知症の女性に、老人がラブストーリーを読み聞かせて自分たちを重ねるような話。
終盤泣きそうになって堪えていたら、隣からぐずぐず聴こえてきて横を見た
「泣きすぎでしょ…」
小さな声で呟くと、潤ませた目が私を写した。
ハンカチを差し出すと、それで涙を拭ってまたスクリーンを見つめる。
すっかり私の涙は乾いてしまった
「徹が先に泣くから私の涙乾いたんだけど!涙返せ!」
及川「はあ?隣で俺が泣いたせいにしないでくれる?泣かない方が無理だから」
「先に泣くとかないから!」
ぐずぐずの顔でうらめしそうにこっちを見るのも何にも変わってなくて
なんだか少し…
胸がギュッとなった
177人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「ハイキュー」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ゆう(プロフ) - まさん» またまたコメントありがとうございます!なかなか重い展開ですが、みんなの決断がこの先の物語をどんなふうに変えていくのかぜひ見届けてください泣!遅くなりましたが新年明けましておめでとうございます! (2020年1月30日 23時) (レス) id: dc3752dd12 (このIDを非表示/違反報告)
ま(プロフ) - ゆうさん» 更新待ってました!年明けからしばらく経ってますがあけましておめでとうございます!今年も更新楽しみです!本当に主人公ちゃんがどちらを選ぶかドキドキです!更新回数が少ないとのことですが、どちらとくっついてもその後のお話読みたいです! (2020年1月18日 15時) (レス) id: 462628ff0d (このIDを非表示/違反報告)
ゆう(プロフ) - まさん» 一気読みありがとうございます!!及川さんも赤葦くんもどちらも切なくてやらせないですよね泣 どっちにも報われて欲しいけどどっちもなんで無理だから…って日々葛藤してます…。。更新再開いたしましたので宜しければ続きも読んでやってください! (2019年12月10日 21時) (レス) id: dc3752dd12 (このIDを非表示/違反報告)
ま(プロフ) - 初めまして!一気に読ませていただきました!やるせない、切ない及川さん視点、同じく赤葦くん視点の展開がたまらなくとても大好きです!更新が止まっているようで作者様もお忙しいのかなと思ってます!また更新ができるようになりましたら楽しみにしております! (2019年12月1日 0時) (レス) id: 462628ff0d (このIDを非表示/違反報告)
ゆう(プロフ) - ゆのさん» 一気読みありがとうございます!赤葦くんも色々と我慢したりがんばったりしてるんですけどなかなかそれが伝わってないのがもどかしいですよね泣 及川さんにも赤葦くんにもどっちにも幸せになって欲しいです泣 コメントとても励みになります!ありがとうございます! (2019年10月3日 19時) (レス) id: dc3752dd12 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:ゆう | 作成日時:2019年9月25日 22時