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【番外編】09.信じたくない ページ21

翌日。


いつものように朝6時に起きた俺は、テレビのニュースを眺めていた。

毎日のように事件はどこかで起こっていて、被害者は助けを待ち続けている。それを助けることが、俺の役目なのに。



「……くそ」



俺は、アイツの“個性”も、助けてやることも。気付いてやることさえもできなかった。

何度も思い出しては自分に苛立ってくる。



するといつもより少し遅めに起きてきた彼女が、急いでコーヒーの準備をしにリビングに入ってきた。

広々としたキッチンカウンターに、彼女が見える。それだけで、なぜか安心してしまう。



「おはよう、勝己さん」
「……おー」



カチャカチャと音を鳴らしながら、彼女は動き回る。

昨日泣いていたが、もう落ち着いて元気になったのだろうか。無駄に笑顔を振りまく彼女は、昨日のことを無かったことにしているようだった。

やはり、何かがあったのかもしれない。



「昨日、何があ……」
「ごめんなさい、寝坊しちゃって」



俺の言葉を聞きたくないとでも言うように遮った彼女は、いつもの引きつった笑顔を浮かべていた。そんなに聞かれたくないことがあったのか、と落ち込みながらも「あぁ」と相づちをうつ。



「勝己さん。今日は、お仕事お休みなの?」
「あぁ、久々に連休がと……」
「え、えっと。勝己さん、私のお母さんが会いたがってたよ」
「……そうか」



何度も、焦ったように彼女は話しかけてきた。それに答えていると、俺の言葉を遮るように違う話題を重ねる。何かが、可笑しい。



「なぁ、」



まるで、耳が────



「……いま、私に話しかけてる?」
「は?」



その言葉を聞いてから、ドクドク、と今までにないくらいのスピードで、心臓が大きく脈打ち始めた。



「冗談、だろ?」



そうだ、冗談に決まってる。彼女は“個性”を失ってしまっただけ。耳が聞こえなくなるはずなんて、ないのだから。



「嘘ついてんじゃ、ねェよ……」
「なんで?うそ、うそ」



俯いて、震えて、腕を抱えて、涙を流して。そんなんで、俺が騙されるとでも思ってんのかよ。



「たち悪ィぞ、こんな冗談」
「……お願いだから、」
「笑えねェんだよ……!」
「……話しかけて、声を出して、っ」




───あなたの声が、聞こえない。





「……っ、A」
「何でよ、どうして聞こえないの、っ」




自分の足で転けそうになりながらも、必死で俺の方に歩いてくる彼女は、見ているだけで痛々しかった。

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設定キーワード:ヒロアカ , 僕のヒーローアカデミア , 爆豪勝己   
作品ジャンル:アニメ
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√A(プロフ) - 真実さん» コメントありがとうございます。とても嬉しいです!頑張った甲斐がありました〜(笑) お気に入り登録もありがとうございました! (7月20日 11時) (レス) id: 6ffc153c88 (このIDを非表示/違反報告)
真実(プロフ) - 哀切この上なくて、でもとても素敵なお話でした……! 久々に素晴らしい作品に出会えました、ありがとうございますっ…… (7月20日 1時) (レス) id: 645dfe253c (このIDを非表示/違反報告)
√A(プロフ) - けいさん» 最高だなんて、、そう言ってもらえて嬉しいです。そうですよね、、大好きな人との時間を大切に過ごしてくださいね。コメントありがとうございました! (10月7日 21時) (レス) id: 6ffc153c88 (このIDを非表示/違反報告)
けい - ずごい泣けました……涙が込み上げて来て最高でした。最後のほうはもう画面が見えなかったです。大好きな人の声が聞けないなんて私は耐えられないと思います。 (10月4日 21時) (レス) id: 0d0916fec7 (このIDを非表示/違反報告)
√A(プロフ) - でんぷんさん» 返信遅くなって申し訳ないです。ほんとですか!笑 そう言ってもらえて嬉しいです。コメントありがとうございました! (10月2日 19時) (レス) id: 6ffc153c88 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:√A | 作成日時:2018年2月8日 22時

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