日常、月の光と王子たち。 ページ31
歩き続けてかれこれ15分。月の光がよく届く道まで来た。明るい。
頭も冷えてきたので、これからのこと、整理したいと思います。
貴「足が棒のようだ」
じゃなくて。
貴「どこか小高いところに行って跡部邸の位置を確認する。そして、そこから助けを求める」
うんうん。
？？「それは名案だね」
貴「でしょ？ さあ、早速行動………」
デ・ジャ・ヴ。
ぐるっと振り向いて息吸い込んで。せえ、の…の前に、吸い込んだ酸素は行き場を失った。
貴「せ、精市……汗が…」
そこにいたのは幸村精市。神の子と呼ばれし男。
けれど、どんな強敵と対峙しても余裕を失わないその綺麗な顔には、汗の粒。顔綺麗だと汗すら綺麗なのねムカつく…でも、今は。
貴「あんた…なんで……」
ここが。だって私、迷子。
あわあわと口を無意味に動かすことしかできない。当然言葉も出てこない。
私は軽くパニックだというのに、目前の貴公子は美しく微笑む。
幸「蓮二と乾の本気だよ。それでも辿り着く場所を一箇所に特定はできなかったから、皆総出で探したんだよ」
それから、気遣わしげに私を見て、
幸「怪我は…？」
ない。申し訳ない。ごめんなさい。ぐるぐるぐると渦を巻く。
そうしていると、精市は腕時計を唇に寄せ、
幸「こちら、幸村。Aを見つけたよ。」
貴「なんで……。捕まったらその時点で通信機能消えるんじゃ…？」
幸「そんなこと言ってる場合じゃないだろ？ だから、跡部がサーバーいじって通信回線をフルオープンにしたのさ」
跡「ハッ…そーいうことだ」
返った言葉にぱっと振り向くと、精市と同じように汗の玉を額に掲げ、僅かに息を切らした跡部。
越「迷子とか、…っ、A先輩も…まだまだだね」
財「ホントっ、スわ」
同じくツンデレコンビ。というか、
貴「逃走中だった奴らも探してくれてたワケ…？」
滝「当たり前だよ」
千「女の子1人で真っ暗なとこ歩かせるわけにはいかんばい」
揃ってゆく。月の光の下に。
不「でも、怪我がなくてよかった」
切「うわーんA先輩〜、よかったっすぅう〜！！」
集ってゆく。皆、息を弾ませて。
…嗚呼、
貴「ごめん…なさい…」
こつん、頭を小突かれた。
幸「違うよ」
精市が、真田副部長が、マサが、柳生さんが。
手塚部長が、白石部長が、跡部が。
その後ろ、私を囲む全員が、その目が告げていた。違う、欲しいのはその言葉じゃない。
貴「…アリガト」
大勢の中の居場所、私はまた、新しく見つけられた気がした。
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椿(プロフ) - NANOMANOさん» ありがとうございます！！！ 私も、ツンデレコンビのデレは大好きです。財前君もっとデレろ…！ (2014年11月6日 21時) (
レス) id: f85a5f48fd (このIDを非表示/違反報告)
NANOMANO(プロフ) - 財前が可愛いです。ものっそい可愛いです。デレをありがとうございます。いつでも応援します！ファイト！ (2014年11月6日 3時) (レス) id: f5d752c2cb (このIDを非表示/違反報告)
椿(プロフ) - キー子さん» ありがとうございました！！ 続きは…うん、これ以上のカメですが、お付き合い頂ければ幸いです。 (2014年11月1日 22時) (レス) id: f85a5f48fd (このIDを非表示/違反報告)
椿(プロフ) - 七夕♪さん» 光栄です！ こんなカメ足にお付き合い頂き、ありがとうございました！ (2014年11月1日 22時) (レス) id: f85a5f48fd (このIDを非表示/違反報告)
キー子(プロフ) - お疲れ様です！日常にスポットを当てていて親近感がわくお話でした（＾ν＾）続編があるのならば是非また応援します！絶対！！ (2014年11月1日 22時) (レス) id: 9a1f8b418f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：椿 | 作成日時：2014年6月8日 19時
