終わらない愛を君へ (ページ1)

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限界かも。

なんて思いつつも、仕事に行く私、偉い。

あ、、違う、偉いわけじゃないや

辞める勇気もなければ
“限界” って言う事すら出来ないだけ

｢ねぇ葛城さん〜｣

葛城｢んー？｣

｢次の役って、私じゃないといけないのかな｣

葛城｢え、主演は1番にキャスティングされるのよ？｣

｢なーに、自信なくなった？｣って言う葛城さんとバックミラー越しに目が合った。

そんなんじゃない、

ただ、純粋に｢私じゃなくても｣って思っただけ

女優という仕事を初めてから8年間ずっと、マネージャーをやってくれてる葛城さんには、そんな事、言えないけど

葛城｢あー、もしかして、まだ引きずってるの？彼のこと｣

｢今月デビューするって朝報道されてたよね。｣
困った表情をした葛城さんに、ちょっと申し訳なく思う。

｢ううん、そんなんじゃないよ。ごめんね。｣

へへって笑えば、そぉ？なんてちょっと安心した顔するの。長いこと一緒にいるから、気づいてるんだろうな、いろいろ。

葛城｢でも感慨深いわよね。あのドラマきっかけで作られたグループがデビューでしょ？｣

｢ふふ、うん｣

葛城｢やっぱりちょっとは後悔してるでしょ？｣

後悔、ね。

もし、あの日差し出された手を振り払わなければ、ずっと近くにいれたんじゃないかっていう後悔？

好きだと、一言いえば離れなかったのにっていう後悔？

そんなの、後悔だと言ってしまえば楽なんだろうけど、言えないよ。

あの日、私たちが間違ってたなんて、思ってない。

｢彼には大事なものがたくさんあったんだよ。大事なもの守りきったから、今の彼がいるんでしょう？｣

私には彼しかいなかったから

彼を守るには離れるしかなかったんだよ、葛城さん。