検索窓
今日:31 hit、昨日:10 hit、合計:45,256 hit

#6 ページ7

ドキリとした。私を見つめる紫の瞳があまりにも真っ直ぐだったから。

オロオロとしながら膝の上に置いた両手を見つめ、私は意を決して言葉を発した。

「あ、の・・・どうして今日はディナーに誘ってくださったんですか?」

顔を上げずにそのまま聞いた。あの瞳に見つめられながら話すなんてとてもじゃないけど
心臓が張り裂けてしまいそう・・・。

土方さんはゴクリとワインを飲む音を一瞬たてると、クスリと笑った。

土方「お前と食事をしてみたかった。それだけじゃ不満か?」

実に単純明快な答えが返って来て、私は再びパニックになった。

どうして私なんかと?こんな立派なお家に住んでいるならもっと綺麗で品が高くて
美しい女性とお食事くらいできるはず。

土方「3年前、あのカフェに入ったのは偶然だった。」

突然、土方さんはそう語り始めた。私は思わず顔を上げた。

土方「仕事が立て込んでいてな。静かなところで作業しようと思ったんだ。
そしたら見つけた、街から外れた静かなあのカフェをな。
最初はなんとも思わず入ったが・・・お前が満面の笑みで迎えてくれた。」

いつの間にか、そう語る土方さんの紫色の瞳を私はじっと見つめていた。

緊張や恥じらいはなぜか感じていなかった。

土方「ミルクが嫌いな俺に、お前は豆乳を勧めてくれた。
それがすごくうまかった。仕事もはかどってすぐに終わった。
だから仕事でどこかに出張したり、よっぽど忙しい時以外はあのカフェに行くようにしてる。
豆乳ラテとお前の笑顔に会いにな。」

フッと笑うその姿はとても美しくて、思わず見とれてしまう。

土方「今はずいぶん騒がしいカフェになっちまったがな。」

また困ったように笑った彼を見て、私もフフッと笑みをこぼした。

「私の笑顔で、誰かを素敵なキモチにできているならこんなに嬉しいことはありません。」

私なりに笑顔で頑張っていてよかったと心から思った。

毎日何人ものお客様が来店されるが少なくとも目の前の彼は、私の笑顔で仕事を頑張れている。

そして、わざわざ毎日カフェに通ってくれているのだ。

土方「お前のおかげで仕事がはかどってな、会社もずいぶん成長させてもらった。
その礼にディナーでもと思って今回誘ったってわけだ。」

「そんな・・・こんな素敵なお食事に誘っていただいて、私こそありがとうございます。」

ぺこりと頭を下げ再び顔を上げると同時に、お料理が運ばれてきた。

#7→←#5



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.5/10 (29 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
56人がお気に入り
設定タグ:薄桜鬼 , 土方歳三 , 奈智   
作品ジャンル:アニメ
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

土方優菜 - 土方さんガチ勢なので、1人赤面しながら悶えてました。裏も拝見しましたが、最高でした。 (11月5日 11時) (レス) id: 0bd3d38196 (このIDを非表示/違反報告)
奈智(プロフ) - もーさんさん» お読みいただきありがとうございます!わかりにくい表示で申し訳ありません。URLをお送りしますので、そちらからお願いします! (2019年7月16日 10時) (レス) id: 6159359968 (このIDを非表示/違反報告)
もーさん(プロフ) - 土方さんが推しなのですごく面白かったです!!裏を読みたいのですが表示されません、、汗 (2019年7月16日 4時) (レス) id: dc934c0dc5 (このIDを非表示/違反報告)
奈智(プロフ) - 桃香さん» お読みいただきありがとうございます!わかりにくい表示で申し訳ありません。URLをお送りしますので、そちらからお願いします! (2018年10月31日 9時) (レス) id: 21d901375a (このIDを非表示/違反報告)
桃香(プロフ) - とても面白かったです!!!裏を読みたいのですが表示されてなくて、、 (2018年10月31日 7時) (レス) id: e7856f2162 (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:奈智 | 作者ホームページ:http://ulog.u.nosv.org/home  
作成日時:2015年11月24日 19時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。