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#31 ページ32

部屋は灯りが付けられておらず、カーテンが閉まっていない夜景の綺麗な窓から
ビルや街の灯りが入り込み、土方さんの横顔を妖しく照らしている。

土方「ったく・・・平助のヤロウ・・・」

ため息をつくように彼はそう言い、首をうなだれてしまった。

「その、ごめんなさい!!」

私は思わず、ガバっと頭を下げながら大きな声で謝った。
すごく、呆れられてしまった気がして。
ましてやこれで藤堂さんが怒られてしまったら本当に取り返しがつかない。

「私、土方さんのお気に障るようなこと言ってしまって・・・
藤堂さんは謝る機会をくださっただけなんです!だから、どうか彼のこと怒らないでください!」

頭が上がらなかった・・・いや、上げられなかった。怖くて。

もう頭の中はぐちゃぐちゃで、自分が何を言ってるのかもよくわかっていなかった。

土方「いや・・・俺の方こそ、悪かったな・・・。」

ぼそり、とそう聞こえてきた。その言葉の意味を理解するのに数秒、数分かかった。

「・・・え?」

そうして、思わず顔を上げた。どうして土方さんが謝るの?
きっと今私は、史上最強にほおけた顔をしている気がする。

街の灯りで照らされた彼の美しい顔は、ほんのりと赤く染まっているように見えた。

土方「俺は下の名で呼ばれるのがどうも嫌いでな。幹部ですら俺のことは苗字で呼ばせてる。
けど、あの時お前が俺の名を呼んで・・・その、レイラのことで頭にきてたのもあって
ついあんなこと言っちまった。けど・・・」

顔を見てはくれないけれど、ほんの少しそっぽを向けられた横顔にドキリとする。

言葉の続きが気になって、彼から目が離せない。視線も、心も釘付けだった。
彼のあの誰にも負けないような自信と気品溢れるセクシーさが、蘇っている。

土方「けど、お前に名を呼ばれたとき不思議と嫌じゃなかった。
むしろ嬉しいと感じた。いろんな感情が入り混じってわけがわからなかったんだ。」

スッとベッドから立ち上がり、彼は一歩ずつ私に近づいてくる。
離せない。絡め取られたように。あの美しく何もかもを見抜いているような瞳から。

私は動けずにいた、いろんな感情を頭の中でミックスしながら彼がたどり着くのを待っている。

私の目の前に立った彼は、自信に満ちた笑みを浮かべていた。

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設定タグ:薄桜鬼 , 土方歳三 , 奈智   
作品ジャンル:アニメ
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土方優菜 - 土方さんガチ勢なので、1人赤面しながら悶えてました。裏も拝見しましたが、最高でした。 (11月5日 11時) (レス) id: 0bd3d38196 (このIDを非表示/違反報告)
奈智(プロフ) - もーさんさん» お読みいただきありがとうございます!わかりにくい表示で申し訳ありません。URLをお送りしますので、そちらからお願いします! (2019年7月16日 10時) (レス) id: 6159359968 (このIDを非表示/違反報告)
もーさん(プロフ) - 土方さんが推しなのですごく面白かったです!!裏を読みたいのですが表示されません、、汗 (2019年7月16日 4時) (レス) id: dc934c0dc5 (このIDを非表示/違反報告)
奈智(プロフ) - 桃香さん» お読みいただきありがとうございます!わかりにくい表示で申し訳ありません。URLをお送りしますので、そちらからお願いします! (2018年10月31日 9時) (レス) id: 21d901375a (このIDを非表示/違反報告)
桃香(プロフ) - とても面白かったです!!!裏を読みたいのですが表示されてなくて、、 (2018年10月31日 7時) (レス) id: e7856f2162 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:奈智 | 作者ホームページ:http://ulog.u.nosv.org/home  
作成日時:2015年11月24日 19時

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