薄桜鬼〜強引なその先は〜表

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サァァァと温かいシャワーを浴びる。

柔らかい手触りの水はとても気持ちがいい。

このバスルームがたかだか一つの部屋の一角とは思えない。

もちろん浴槽もあるし―しかもゆったり足を伸ばせるくらい広い―
高級そうなシャンプーやトリートメントもついている。

今日は浴槽は使わないけれど、周辺の機器を見ていると
たぶんこれはジャグジーにもなる感じ・・・

これ、一家族住めるレベルなんだけど・・・。

驚きを隠せないまま、とにかく髪や身体を洗っていく。

「うわ・・・めっちゃ髪サラサラになった・・！」

トリートメントを落とすと、びっくりするほど髪がなめらかになった。

なんかもうとっても贅沢な旅行にでも着てる気分。

キュッと蛇口をひねってシャワーを止めると、私はふぅと息を吐いて浴室を出た。

壁に掛けてある棚の上からふわっふわのバスタオルを取って濡れた身体を拭いていく。

クローゼットの中にあったぴったりサイズのラベンダー色のランジェリーと
浴室に準備されていたノースリーブのワンピース調ルームウェアを身にまとった。

履き心地最高のスリッパを履いて、私はリビングルームに向かった。

ふわりとお酒が飲みたくなるようないい香りが鼻をくすぐる。

そろりとリビングに入ると、誰もいないカウンターキッチンのスツールに彼は腰掛けていた。

少しずつ近づいていくと、パタパタという音に反応して土方さんはこちらを向いた。

土方「もう出たのか、って・・・お前髪が濡れたままじゃねぇか。」

「えあ、えっといいんです。少し自然乾燥させたほうが早く乾きますから・・・」

そう言いながら、私は彼の横のスツールに腰掛けた。

細めのワイングラスの中にしゅわしゅわと泡のたったお酒が飲まれるのを待っている。

小皿にはお肉やお野菜等のおつまみがいくつか並べてあった。

土方「お前は、あの店の社員なのか？」

「え・・・あ、エルトリックですか？違いますよ。私は一度別の会社に就職したんですが・・・
どうも人間関係が合わなくて、すぐ辞めちゃって戻ってきたんです。」

まさかそんなことを聞かれるとは思わず、少しためらいながらそう返した。

私の過去なんて本当にロクなことないのに。

「ちゃんと、働いたほうがいいことはわかってるんですけど・・・
私ってダメな人間ですよね。」

そう言って笑い、私はお酒を飲んだ。

昨日のディナーの時とは違う味のお酒が舌の上を駆け巡り喉へと滑り落ちていった。

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