18歳、カタオモイ。 (ページ1)

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少女漫画に出てくるヒロインちゃんになりたい。
て、今までに何度考えただろう。

例えば超真面目な根暗地味子でも、
重苦しい闇を抱えた美少女でも、
何処にでもいるような平凡女子でも、

最後は絶対に結ばれるからいい。
好きな人が自分を選んでくれるからいい。
片想いのまま終わるなんてあり得ないから、いい。

結ばれる過程でどれだけ災難が降り注ごうとも
別に構わないじゃないか。
私は羨ましいよ、ヒロインちゃん。

「ヌナ～、ネクタイできないんだけど」

朝は色々と慌ただしいってのに
ふにゃふにゃ言いながら私にネクタイを締めろと促してくる弟。こいつ絶対、将来はヒモだ。

「セフンさー、あんた今日から高校生なんでしょ？」
「ヌナの可愛い弟っていうのは変わらないでしょ？」

はーい。もう面倒臭いので締めてあげます。
何だかんだで可愛いからつい甘やかしてしまう、私の悪い癖。

「ヌナさ」
「なあに」
「華のセブンティーンでしょ？」
「まあ今はね。今日から高3だけどね」
「そろそろさ」
「うん」
「彼氏できるといいね」
「……。」

怨念を込めて少しキツめにネクタイを締めてやる。この減らず口なんとかならないもんか。

そりゃ、立ってるだけで人が寄ってくるようなモテモテセフンくんには分からないだろうよ。
毎週、隣を歩いてる女の子の顔が違ったりする少々(？)問題アリな弟である。

今日から同じ高校に通う訳だけど、
どうかチャラチャラして騒ぎを起こしたりしないで頂きたい。

「私はね、彼氏ができないんじゃないの。作らないだけなの」
「ふーん。まあがんばってね、ぼくの可愛いヌナ」

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