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ページ44

壬氏side

阿多妃「祝い酒のつもりだったんだがなあ」

上級妃のひとり、阿多妃に呼ばれ、酒を飲むことになった
阿多妃は明日、後宮を去る

阿多妃「莫迦だよなあ、自ら命を絶つなんて」

それでも阿多妃が憂いでいるのは、自らのことではない

阿多妃「莫迦なのは、私もか。すまなかったな。長年この地位に縋り続けて。お前からあの子を取り上げたままで」

「いえ。私は…」

言葉が続かなかった
"壬氏"であれば上手い言葉が出たはずだ
しかし、この場で阿多妃を目の前にすると、上辺だけの上手い言葉が出てこなかった

阿多妃「ちょっと外に出てくるよ」

阿多妃はそう言うと、俺を置いて外へ出てしまった

勝手に帰ることもできず、やることもなく、
仕方がなく1人で酒を飲み続ける

無性に…会いたくなった
確かにここ数年はずっと我慢をしてきた
想いは通じあっているものの
阿多妃を第一と考える彼女は私の元へ来ることを拒んだ
それだけ阿多妃に恩があったのだろう

確かに阿多妃が居なければ俺も彼女に出会うことはなかった


阿多妃「もう戻って良いぞ」

そんなことを考えていると阿多妃が先程よりすっきりとした顔で帰ってきて、俺を追い出した

阿多妃「あの外壁にあの子がいるぞ」

そう一言添えて

俺は急ぎ足であの外壁へ向かった

「A」

そこへ着いた頃には、ちょうど彼女が外壁から降りているところだった
思わず声をかければ彼女は足を踏み外す

「Aっ」
なんとか駆け寄り、Aを抱きとめる

A「壬氏さま、?なぜここに…」

「あるお方に呼ばれてな。酒を飲んでいたのだがその方は突然外へ出ていったかと思うと、すっきりした顔で帰ってきて、俺にも戻れと」

賢いAには俺が誰といたかわかっただろう

A「、すみません。退きますね」

そしてAは俺から退こうとする

「もう少しこのままで」

それでも俺はAを離さなかった
Aも向きを変え、俺を抱きしめてくれた

「久しぶりに触れることができた」

上級妃の侍女と宦官
逢瀬を重ねることは難しく、半年に1度、園遊会の最中に抜け出すのが精一杯だった

A「んっ、壬氏さま、」
「…泣いていたのか」

暗闇でよく見えなかったが、よく顔をのぞくと
Aの目からは雫があふれていた

Aが今日ここに登っていたのは、あの侍女のことを思ってだろう
そして先程まで阿多妃と会っていた
優しいAのことだ
色々考えすぎたのだろう
莫迦だなあ

「俺のことだけ考えろ」

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シホ(プロフ) - 求めていた壬氏様に出会えました!とても好みの内容で幸せです! (1月4日 14時) (レス) @page45 id: 2de7cdac1e (このIDを非表示/違反報告)
xxximmmmmxxx(プロフ) - ♡ (12月4日 7時) (レス) id: 0c1ea22a5d (このIDを非表示/違反報告)

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作成日時:2023年12月3日 12時

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