ほんの一瞬の夢を見る (ページ40)

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Aside

猫猫「A、変なのに気に入られたな」
「変なのって？」
猫猫「壬氏さま。Aに興味津々だったぞ」

入れ違いに壬氏さまの部屋に入る際、猫猫にそう言われた

「まさか。壬氏さまのお気に入りは猫猫でしょう？」
猫猫「いや、おそらく私とは違った意味で…。壬氏さまは宦官だから大丈夫だと思うが…気をつけろよ」
「宦官さまだったのね。お気に入りは猫猫だからそもそも大丈夫だと思うけれど。ありがとう」

そんな話を猫猫とした矢先だった

壬氏「いくら出せば買わせてくれるのだ？」

私の頬に手を添え、そう壬氏さまに迫られた
全く違うはずなのに
あの方とどこか雰囲気の似た瞳に思わず吸い込まれそうになる

「買う、とは」

それでも必死に冷静を装う

壬氏「全てが欲しい」

衣服に手をかけられ、その言葉が何を意味しているのかはっきりと理解をする

「恐れながら、私はカラダは売って…」

近づいてくる顔を避けることができなかった
否、避けようと思えば避けれたはずなのに、私は避けなかった

壬氏「いくらだ」

勝ち誇ったように壬氏さまは笑った
その表情はまさしく、私があの方に堕ちたときの表情とそっくりだった

A「っ、やり手婆次第です」
「それは買ってもいいということだな」

さっき猫猫は壬氏さまは宦官だと言った
それなら最後まではないだろう、
このまま、もう一生会うことも出来ないあの方とどこか似たこの方に流されるのも悪くないと思った

私はあの人に堕ちたときのように、壬氏さまに口付けをした

見た目は違うはずなのに、どんどん壬氏さまがあの方に見えてくる
ずっとお会いしたかった、何度もまたこの日が来ることを夢に見ていた

壬氏「Aっ」

あの方を想う一心で私は壬氏さまに流されていた
そしてあることに気づき、壬氏さまに名を呼ばれてハッとする

「壬氏さま…これは…」

猫猫から聞いていた話と違った

目の前には顔を真っ赤にする壬氏さま

…ああ、あの方はこんな表情しなかった
頭がどんどん冷静になっていく
そして私は知ってはいけなかったことを知ってしまったのではないかと焦りが出る

壬氏「ここで止めるなんて言わないよな」

でも、あの方のようにそう言われると、また私は冷静さを失いそうになる

壬氏「なるほど、やはりこちらか」

壬氏さまは何か納得したかのように頷くと再び続きを始めた
あの方のような強引さに私は再び流され始めた