ほんの一瞬の夢を見る (ページ35)

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それから、主が末娘に依頼する事務作業の量が増え、内容も難しいものとなった

しかし、末娘は短い時間でそれらをこなし、水蓮さまの仕事も手伝っているようだ

末娘も生き生きと働いており、親としては微笑ましい

主も、末娘の力を認め、最近は相談もするようになっていた

…その時の距離が少し近い気もするが、書類を一緒に見ているだけのため、問題はないだろう

A「青い薔薇ですか…」

ある日、主に持ち寄られた面倒事が末娘に回された
…さすがにそれは末娘ではなく小猫の方が得意では…
…そう言えば最近、主が小猫の元に最後に行ったのはいつだろうか…
玉葉妃の元へ向かうことはあるが、わざわざ小猫を探すことも無くなっているような気がした
どこかで逢い引きでもしているのだろうか、いや、主にそのような時間はない…

A「どのようにすればよろしいでしょうか」
壬氏「来月の園遊会までに欲しい」

そう考えている間にも話は進む

A「…薔薇が咲くのは少なくとも、ふたつき以上先ですが…いえ、やってみましょう」

「A、そんなに簡単に引き受けて…っ」

思わず声が出る

A「お父さま、どこかに蒸気風呂はございませんか」
「それなら水晶宮に…」
壬氏「蒸気風呂があれば出来るのか？」
A「完璧に出来るかは分かりませんが」
壬氏「後宮に…水晶宮に出入りできるよう手配しておこう」
A「ありがとうございます」

結果、末娘は青い薔薇を咲かすことは出来なかったが、蕾をつけることに成功した

壬氏「お前の末娘は凄いな」
主は満足そうに笑っていた

この笑みに少し危険を覚えた…
これは、お気に入りの玩具を見つけたときの顔ではないだろうか