ほんの一瞬の夢を見る (ページ31)

今日:162 hit、昨日:491 hit、合計:119,337 hit

・ページ31

猫猫side

A「壬氏さまから大まかに聞いたんだよね？ごめんね、黙っていて」

その日の夕方、水蓮はAのお願い通り、私とAが会う時間をつくってくれた

衣服が違うものの、やはりその話し方や雰囲気は後宮で話したままのAでほっとする

「しかにしてもAが、下女ではなく、壬氏さまの妻だったなんてね。まあその見た目で下女ってのもおかしいなと今なら思うよ」

美しく立派なメロンを持ったAは、下女であったのならば、間違いなく妃に上がり、帝のお手つきとなっていただろう

A「あはは、でも下女として働くのも楽しかったよ」

私たちはそれからとりとめのない話をした
ここに小蘭がいないのは残念だが、それは楽しいひとときだった

壬氏「A、そろそろ話は終わったか？」

A「壬氏さま」

そこに壬氏さまがあらわれる

壬氏「A、今日は私と夕餉をとる約束だろ」

後宮で見た色目とは違う、本当に愛おしい者を見る目でAを見ている

A「そうでしたね。あ、良かったら猫猫も」

Aは嬉しそうにこちらを見るが…壬氏さまは毛虫を見るかのような目で見てくる
…なんだ、そんな目も出来るのか

「あ、いや、わたしは…遠慮するよ。夫婦の時間を邪魔するのは悪いし」

そう言えば壬氏さまは笑顔になり、Aは残念そうな顔をする

壬氏「では行こうか、A」
A「はい。じゃあ猫猫、また明日ね」

壬氏さまはAの腰を抱き、部屋を出ていった

「相当な溺愛ぶりだな…」

わたしはそう呟かずにはいられなかった

それでもこの時は、そんなに深く考えていなかった
これからの憂鬱な日々についてを