ほんの一瞬の夢を見る (ページ4)

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猫猫side

そしてその数日後、やり手婆も笑顔になるほどの金子を持った麗人が花街にあらわれた

彼は1人の若い人気妓女を所望した

「恐れながら壬氏さま、A小姐を泣かせたらわたしが許しませんから」

そんな麗人を少し睨んでみた
これは本心だ
大好きなA小姐を泣かす奴はどんな奴だって許せない

壬氏「ああ。Aは必ず幸せにする」

A「もう。猫猫…。あ、そうだ、猫猫の短期就労(アルバイト)は昨日で終了よ。羅門さんのところでまた伸び伸びと過ごしてね」

A小姐はそう笑って言った

どういうことだとやり手婆を見れば

婆「Aがお前の借金を全て工面したんだよ」

少しだけ悔しそうな顔をしていた

「A小姐！！」

嬉しくて思わずA小姐に抱きつく

壬氏「おい、薬屋。わたしのAに抱きつくな」

それを壬氏さまに離される

「別にいいじゃないですか。ケチですね」

そうだ変態野郎は粘着質なタイプだった
こりゃあA小姐、先が思いやられるぞとA小姐を見れば
少し恥ずかしそうに笑っていた

…心配するほどでもなかったか

A小姐は綺麗で優しいだけではなく、頭の回転も早い
あの後宮でもうまくやるだろう

ん…？
壬氏さまは後宮勤めの宦官…
Aはどういう立場になるのだろうか

何とは言わないが、A小姐は梨花妃並の立派なものを持っている
まさか間違って帝の寵愛を受けたりしないだろうか

A「それではお世話になりました」

そうこう考えている間に、A小姐はやり手婆含む緑青館の面々に頭を下げ、壬氏さまと外を向いた

小姐たちが舞出したので、合わせて舞う

壬氏「寒くはないか？」
A「ええ、」

そうA小姐に寄り添う壬氏さまを見て安心をしたのは内緒だ

壬氏さまは面倒事を持ってきてはいたが
そこらの変な客よりまともなことは分かっていた

どういう形であれ、壬氏さまならA小姐を幸せにしてくれるだろう

ただただA小姐の幸せを願ってわたしは舞った