ほんの一瞬の夢を見る (ページ24)

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猫猫side

「じゃあAは嫌々あの変人軍師の下にいるんじゃないんだな」
A「ええ、羅漢さまには感謝しかしていないから、羅漢さまはじめ…羅の一族の皆様にはわたしのできる限りを尽くすつもりよ」

その笑顔に少しだけ嫌な予感がした

A「ねぇ、猫猫。娘として羅漢さまに会わない？」

Aは変人軍師の味方だ

「いや…その…」

A「羅漢さまが壬氏さまに猫猫とわたしの交換を提案されていたわ」

この前の暇人宦官のあの意味不明な問はこれのせいか…

「Aはいいのか、その…変人軍師が主じゃなくても」

A「私は羅漢さまのお役に立てるならどうとでも。壬氏さまも店に来ていた客のような方ではなさそうだし…。ちょっと同族嫌悪のような感じがして苦手ではあるけれど」

お、ここにもあの色目に騙されない仲間がいたのか

「というか、同族嫌悪って」

A「ふふ、だって色目を使ってコトを納めている時があるでしょう？」

「そういえばさっきAも、文官に色目使ってたよな」

A「だって私、元々妓女だもの。持っている技は使わないとね。…色目使ったあとがちょっと面倒だけれど…今のところどの文官も武官も、店の客よりはまともよ」

どんな客ばっかとってたんだよ、と思うけれど
本物の上客はだいたい緑青館に通っていたから
Aの店に来る客は上客と呼ばれる客でもまともとは言えなかったんだろう

A「でも、ま、私は羅漢さまのお役に立つためにいるけれど、猫猫のことも気に入ったから、無理矢理、2人を会わせるなんてしないから安心して」

Aはそう笑った
その笑顔はあんな色目なんかよりも破壊力があって
女の私ですら危うかった

「そっちの方がいいのに」

A「ん？」

「いや、ありがとう。助かるよ。私もAと話すの楽しかった」

壬氏さまの下女になってから、小蘭とも会うことが出来ず、やぶ医者とも会うことがなく、話せるのは水蓮と暇人宦官しかいなかった

久しぶりに同世代と話すのも悪くなかった

A「良かった。またお煎餅用意するからたまに遊びに来てね。だいたい毎日この時間は誰もいないから」

「ああ」

そうして私たちは別れた

壬氏「どこいってたんだ」
「…七番とお茶してました」
水蓮がいなかったので正直に話した
水蓮にバレたら間違いなく仕事を増やされるだろう

壬氏「今度は俺も連れて行け」
「え？はい」
それはどうしてなのだろうか、突拍子もない言葉に何も反応できなかった