ほんの一瞬の夢を見る (ページ12)

今日:274 hit、昨日:491 hit、合計:119,449 hit

・ページ12

壬氏side

A「私がいまできるのはここまでです。早くお仕事片付けて帰って来てくださいね」

そうAに言われてしまえば、頑張るしかない

「お願いだから今日はここにいてくれ。玉葉妃には伝える」

Aにそう告げて、俺は執務室へ急ぐ
一刻も早くこの問題を解決して、今日はAと寝よう

普段、玉葉妃の侍女として働いているAには、触れるどころか、自由に話す時間もとれない

それでも今日は部屋に帰ればAがいる

「薬屋、いるか」

こういうときの駒だろう

俺は薬屋にいくつかのヒントを与えて事の早期解決をはかる

思惑通り、薬屋はいい仕事をしてくれた

結局犯人については分からなかったが、ここまで分かれば今日の仕事は終わりだろう

俺は部屋へ急ぐ

A「おかえりなさい」

部屋へ帰れば笑顔のAが迎えてくれた

「もう寝てなくて大丈夫なのか？」

A「あれくらい、今まで盛られた毒のことを思えば可愛いほうよ」

「そうか…」

少し複雑な気持ちになる
俺がAを求めなければ、Aは危険にさらされることなどなかったはずなのだから

A「そんな顔しないで。私も月と共にあることを望んだのだから」

俺の思考を読み取ったかのようにAは笑う

もう俺はAを手放してあげることは出来ない

「愛してる」

A「私も、愛してる」

いつか、この関係を堂々と公表できる日はくるのだろうか

…それは俺の覚悟次第か

せめて薬屋には真実を伝えて
Aを守ってもらおうか…－

---------------------

猫猫「くしゅんっ」
やぶ医者「おや、嬢ちゃん、風邪かい？」
猫猫「いや、なんだか嫌な予感が…」