ほんの一瞬の夢を見る (ページ1)

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本当に手元に置きたかったのはページ1

壬氏side

薬屋(お気に入りの玩具)を解雇した(手放した)
惜しいことをしたと思っている

薬屋はあの子に似ていた
幼き日に花街で出会った子に

最初はあの子かと思って近づいた
でも、薬屋の言動を見れば、名前を聞けば
あの子とは違うということはすぐに分かった

それでも、あの子にどことなく似た薬屋に興味を持った
そしてそんな薬屋を、俺は手放してしまった

考えれば考える程、落ち込んでしまう

俺はあの子がどこの子か知らない
そもそもあの日から10年経った今、
あの子の顔も分からないだろうし、どこにいるのかも分からない
わかるのは名前だけ

だから、雰囲気が似ている薬屋を見つけたときは
あの子じゃないとしても、嬉しかった
なのに、俺は自らその存在を遠ざけてしまったのだ

高順がため息をついているのがわかる
でも仕事はちゃんとしているのだから、これくらい許して欲しい

そんな日々を過ごしているときに、花街で宴会が開かれることになった

正直行きたくもなかった

目の前で芸を披露する妓女なんか目にも入らず
俺は手酌で酒を飲む

？「壬氏さま？」

上から俺の名を呼ぶ声がした

「…お前…化粧で変わると言われないか？」

猫猫「…よく言われます」

そこには妓女の格好をした薬屋がいた
一気に俺の視界が明るくなった

そっと薬屋の唇に指をあて、その指を俺の唇にあてる

"ガシャン"

その時、近くの妓女が酒を落とした

？「っ、失礼しました」

梅梅「A、後始末は禿に任せなさい」

A「大丈夫です。自分の不始末は自分で…」

その姿を見て、その声を聞いて、その名前を聞いて俺の足は自然とその妓女の方へ向いていた

A「っ、あの、困ります。妓女におさわりは…」
「…知っている。さっき薬屋に聞いた」

妓女へのおさわりは追加料金がかかる
さっき薬屋はそう言っていた

A「でしたら…」

金なんていくらでもある
この機会を逃したら俺は…

梅梅「お客様、別室にご案内いたしましょう」

A「梅梅小姐！？」

梅梅「ほら、A」

A「お客様、どうぞこちらへ」

俺は彼女に連れられて別室へ向かった