Fomo Ⅲ (ページ31)

今日:29 hit、昨日:13 hit、合計:97,213 hit

・ページ31

.

　

　

　

　

　

「ねえ涼」

橋本「んー？」

「涼がもしも私の立場だったらさあ。この事務所の人と付き合ってる？」

橋本「え」

一瞬で時が止まる。やっぱり、この前の俺の推理は的中してたのかも。色んな発言がパズルみたいにストンと嵌った感覚。

橋本「んー。まあ、俺だったら付き合うかもね。
　本当にその人が好きで好きで仕方なかったら、俺はその想いを尊重しちゃうかも」

「 ……アイドルなのに？」

橋本「その前に、一人の人間、だしね」

きっといじゅは俺とここの価値観が違うんだと思う。今も俺の発言にいじゅは難しい顔をしているし。
俺だってファンの人は悲しませたくないけれど。俺だって人間なんだから。
当然だけど、感情は持っている。

好きという感情を出しちゃダメなんてちょっと、寂しいよ。

橋本「なあに。いじゅ、事務所内に好きな人でもできたの？」

「え！？や、ちがっ、そんなんじゃ、…ない！！」

その見事な慌てっぷりに思わず吹き出す。正解だと言ってるようなもんじゃないか。

自分である可能性に自信がない。
静かに失恋させられるのは、2度目。

もしかするといじゅをもっと苦しませることになってしまうかもしれない、それはわかっていたけどいじゅに俺の想いを知ってほしくて。

帰り道でようやく決心が着いたんだ。

　

　

　

　

　

　

.