来世 ページ27
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ある日のこと。雑誌撮影の合間、優斗の距離がすごく近かった。
「 ねえ、何？近くない？ 」
高橋「 えーそう？ 」
「 そう、近いよ 」
肩が触れてるのはもちろんだし、優斗の手は私の太ももの上にあるし。相手がメンバーじゃなかったら通報してるよ、私。
夏には告白までされたんだから、多少意識はしてしまうのに。忘れてと言われたけど、何故か忘れられないのに。
高橋「 この前、ドラマで猫役するって言ったじゃん？ 」
確かに言っていた。
『さよならの向う側』というオムニバスドラマで優斗は初めて猫役をすると言っていた。難しい役柄だけど演じるのが楽しみだと、嬉しそうな顔で言っていた。
でも、それとこれに何が関係あるんだ。猫ちゃんだったら近づいてもいいと思ってるの？
生憎、私は優斗を猫ちゃんだと思ったことはない。ガリは猫ちゃんだけど。
高橋「 大切な人に想いを伝えるのは難しい、でもちゃんと触れ合って温もりを感じる。俺にはまだその時間が残ってんの 」
高橋「 いつもありがとうな。
俺、本当にAと出会えてよかったと思ってるから。
……また生まれ変わっても、Aのシンメでいたい。 」
「 ……ありがとう、なんだけどさ。
本当に何の話？ 」
高橋「 俺のドラマ見てくれればわかるよ 」
ちゃはっと目を細めて楽しそうに笑っている。こっちは頭にはてなマークがいっぱい浮かんでいると言うのに。
高橋「 いや、ちょっと嘘ついた 」
「 嘘でしょ、今の感動的な言葉の中にも虚言あるの？ 」
高橋「 生まれ変わったら俺、Aの特別な存在でいたい 」
さっきとは違う、少し照れたように笑う優斗。
そのまっすぐな言葉に、不覚にもドキッとした自分がいた。
「 ……そこ、来世でいいんだ 」
高橋「 いや、妥協してね！？全然俺はいつでもウェルカムなんだけどね！？ 」
言い訳する優斗がおかしくて。
胸の高鳴りが治まらない自分も、おかしかった。
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作者名：366 | 作成日時：2022年8月27日 0時
