４３話：蜘蛛の糸 その２ ページ47
錦糸郷は、歴史のある街だ。
なんでも江戸時代の宿場町で、この一帯はその当時の町並みをそのまま残しているという。
そのため、街には木造の趣のある建物が多く並んでいる。
温泉も出ているそうだ。実のところ、私は温泉の方が楽しみだったりする。
夏羽くんを連れ帰ってきた時には、隠神さんは抜け駆けしたからね。
隠神さんに言ったら、「まだそんなこと根に持ってんのかよ…」とか言われそうだけど。
「さーて、着いたぞ。じゃあ俺たちは宿をとってくるから、お前ら適当に散策しておけ。A、行くぞ。」
『え、私も行くの…』
「当たり前だ。お前、俺の助手ってこと、忘れてんじゃないか〜？」
そういえばそうだった。最近優秀な従業員が増えてきたから、助手としての出番減ったんだよね。
ホワイト企業になってよかったけど。
「じゃあ、行ってくるから。迷子にだけはなるなよ」
「ハーイ。」
『で？隠神さん、どういう魂胆ですか？』
「どういう魂胆も何も、蓼丸先生に会う前にチョコっとだけ捜査をしておきたかっただけさ。聞き込みとか。
そういう時に、お前みたいな可愛いやつがいると話がうまくいきやすいんだよ。」
『なんか道具みたいに言われて嫌なんですケド』
「着いたぞ。この宿だ。お前はそこらに座って待ってろ……あ、蓼丸先生。」
『え、蓼丸！？………先生。』
後ろを振り向くと、そこにいたのは織の叔父の…今回の標的、蓼丸昭夫その人だった。
「隠神さんじゃないですか。お久しぶりですね。Aさんも久しぶりです。」
「いやいや、こちらこそ御無沙汰しています…」
面倒臭いことになったぞ、と思いながら宿の玄関のベンチに腰掛け、置いてあったパンフを手に取った。
”ようこそ 群馬県錦糸郷へ”というありがちな謳い文句が表紙を飾るパンフには、ここらの観光地、美味しい料理店、宿屋やおすすめのお土産なんかが載っていた。一通りざっと目を通してパンフをしまおうとして、背表紙のあるものが目に入った。それは、『錦蜘蛛伝説』。
”むかしむかし、あるところに繁という貧しい青年がおりました。
ある日 繁が仕事から帰ると一匹の蜘蛛が家の食料を荒らしておりました
『何もないところだけど ゆっくりしておいき』 心優しい繁は 蜘蛛に食料を分けました
翌日 目をさますと繁のおんぼろ小屋に 美しい金の蜘蛛の巣がはりめぐらされておりました
糸を売り金持ちになった繁は 生涯幸せに暮らしたといいます…”
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もふたろ(プロフ) - マシュマロさん» コメント、ありがとうございます！私は野火丸くん推しです！ (2021年3月30日 14時) (
レス) id: de19fc35e2 (このIDを非表示/違反報告)
マシュマロ - とてもおもしろく読ませてもらってます！主さんの推しの怪物は誰ですか？教えてください。 (2021年3月29日 21時) (レス) id: ee3718be7d (このIDを非表示/違反報告)
もふたろ(プロフ) - すみません。初めて書いたので知りませんでした。ご指摘ありがとうございます。フラグは外したと思いますが、大丈夫でしょうか。今後は気をつけます。以後も気づいたことなどがあったら教えてください。お願いします。 (2021年3月25日 19時) (レス) id: de19fc35e2 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：もふたろ | 作成日時：2021年3月25日 16時
