少女と少年少女と永遠の別れ ページ10
「……麻音、ごめんね」
友奈の突然の言葉に、麻音は驚いた。
あの日の翌日。友奈は、麻音と別れようとしていた。
そうでないと、鶴崎に何をされるか分からない。
「……えっ？ どういうこと……？」
案の定、麻音は困惑したように首を傾げる。対し、友奈は涙目で訴えた。
「ごめんね……とにかく、これ以上一緒にいられないから。ごめんね……！」
「ちょ、待ってよ、ゆーな！」
叫ぶが、友奈は走り去り、もう手は届かない。
数秒後、入れ違いのように桜花が教室に駆け入ってきた。
「……麻音、さっきのゆーな、様子おかしかった……」
「…………」
麻音は答えず、ただ唇を噛み締める。
――その放課後。
桜花は妙な音を耳にした。
肉を殴打する音――そして、友奈の悲鳴。
「！！」
気付いたら走り出していた。
曲がり角を曲がる。するとそこには、一人の女。
――そして、ナイフが刺さった――
「ゆーな！？」
「あー、このことは黙っといてねー。こいつ、私の彼氏奪ったから」
女の言葉に、桜花はバッと顔を上げた。
「……嘘を……」
「嘘じゃないし。こいつのせーで私、あの人に愛してもらえなくなったんだよ？ 死んで当然じゃん」
「……そんなこと」
「分かった」
――声。
気付くとそこには麻音がいた。
彼は友奈の胸に刺さったナイフを抜き、ゆっくりと女に歩み寄ると、その首を裂く。
「……！」
「……よく分かったよ。リア充って生き物が、最低最悪な生き物だってね」
――彼の言葉は、もはや彼ではない人のもののように響いた。
「……あれ、百花？」
――聞き覚えのある声。
振り返ると、そこにいたのは神堂翼禍だった。
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