病み相談者【d!】 (ページ47)

今日:13 hit、昨日:8 hit、合計:16,709 hit

.... ページ47

綺麗。
その一言に尽きる。
白蝶先輩の笑顔が不登校、ということを忘れてしまう程に優しくて素敵で思わず見惚れてしまった。
見れば見るほど、なんだか見覚えのある顔。
なん、だっけ……？

＿刹那

記憶が流れ込む感覚がした。
彼とは……前、擦れ違った事がある。
買い物の時、妙に焦っていたあの人だ。
何故覚えているのか、分からないけれど。

「………A、どしたん？」

ぼーっとしている私が気になったのか前ちーのくんとしょっぴくんが付けてくれた渾名で呼んでくれたしょっぴくん。
まぁ、先はマンちゃんだったけれど。

「ううん、大丈夫」

「会話になってへんのやけど……」

第一、白蝶先輩が覚えている訳がない。
あんな一瞬のこと、覚えている方が可笑しいだろう。
なのに何故覚えているのか、自分自身でも分からない。それ程印象的だったのだろうか。

「ぁ……、もしかして、会った事、ある？」

え。
多分私の顔はそれはそれは間抜けだろう。
覚えていた、という驚き。

「え、っと……前、擦れ違った事、くらいですかね……？」

コミュ障炸裂しながら話すと、白蝶先輩は少しばかり安堵した。
間違ってなくて良かった、と。

「そっか、見覚えあったから……。名前、なんていうの？」

「ぇ、と……、AA、です」

「そっか、Aさんね」

関東の言葉だからか親近感を覚え。
それは白蝶先輩も同じらしく。
そんな〝2人の空間〟が出来上がってしまい不満気な3人は白蝶先輩に自己紹介をした。

「くろさきしゅと」

「…しきやしょうっす」

「めうぅ…いくらAが可愛いからって独り占めしないでほしいんやけど…めぅ」

そういえば。
先輩方の漢字ってどんななんだろう。
そう思って紙を差し出し名前を書くことを促す。
先輩方は疑問符を浮かべながらも書いてくれた。

　黒崎朱兎
・紫矢翔
深見碧

黒崎、朱に兎で黒崎朱兎。
綺麗とも汚いとも言えない字で書いてくれた。
紫に矢に翔で紫矢翔。
綺麗な字で書いてくれた。
深いに見る、碧で深見碧。
可愛らしい字で書いてくれた。

そして最後。

白蝶蘭

白い蝶に蘭で白蝶蘭。
少し乱雑だけど丁寧さを感じさせる字で書いてくれた。

字を知れたこと、名前-Aにとってはサイン-を書いて貰えたことが嬉しくて他の人にも書いて貰お、そう心の中で呟いた。

-その後はちょっとした論争があり授業を終えた。
結局Aは下校、碧は保健室へ行く事となった。